ニュース速報

ビジネス

英HSBC、向こう3年で資産1000億ドル圧縮・人員3.5万人削減へ

2020年02月18日(火)18時18分

 2月18日、英金融大手HSBCホールディングスは1000億ドル規模の資産圧縮を進めると発表した。昨年8月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

[香港/ロンドン 18日 ロイター] - 英金融大手HSBCホールディングスは18日、1000億ドル規模の資産圧縮を進めると発表した。投資銀行部門の規模を縮小するほか、米国と欧州の事業改革を実施。大幅な刷新となり、向こう3年で3万5000人の人員を削減する。

ノエル・クイン暫定最高経営責任者(CEO)はロイターに対し「人員は向こう3年で23万5000人から20万人になるだろう」と述べた。一部は退職者の補充をしない自然減で対応するとした。

HSBCは米国事業について、リターンを改善する必要があると指摘。224支店のうち約3分の1を閉鎖し、国際的で比較的裕福な顧客のみを対象とするとした。

グループ構造の簡素化に向け、リテールバンキング・ウェルスマネジメントビジネス部門をグローバルプライベートバンキング部門と統合し、世界最大級のウェルスマネジメント事業部門をつくるとした。

また、欧州の現物株部門については、取引支援に注力する中、セールスとリサーチ事業を縮小する。

HSBC株主として上位20位内に入っているアバディーン・アセット・マネジメント・アジアのマネジングディレクター、ヒュー・ヤング氏は「ある意味で、明らかなことで、周りからも求められていたことをやっていることになり、良いことだ」と指摘。「やるべきことは多く、どのように決着するか見る必要がある。ノエル氏は非常に厳しい環境でもよい仕事をしている」と述べた。

<19年通期は33%減益>

18日発表した2019年の通期決算は33%の減益。欧州の投資銀行・商業銀行部門に関連した減損処理が響いた。

主要な拠点を置く市場での景気減速、新型コロナウイルスの感染拡大、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る混乱の長期化、主要国中央銀行の利下げなど、HSBCを取り巻く環境は厳しさを増している。

ここ数年、アジア、とりわけ中国への多額の投資は利益をもたらしているものの、欧米では不振が続き、全体的なリターンは下がっている。

2019年の税引き前利益は133億5000万ドル。前年は198億9000万ドルだった。市場予想の平均は200億3000万ドル。収益の大部分はアジアで稼いでいる。

減益の主因は欧州のグローバル・バンキング&マーケッツ部門およびコマーシャル・バンキング部門での73億ドルの減損処理。

19年の自己資本利益率(ROE)は8.4%で、2018年の8.6%から低下。有形株主資本利益率(RoTE)は8.6%から8.4%に低下した。

HSBCは新たに45億ドルのコスト削減計画を掲げ、2022年の調整後のコストベースを310億ドル以下に減らし、RoTEを10━12%とすることを目指す。

2016年以降、約60億ドル相当の自社株買いをしてきたが、2年間凍結する。配当は維持する。

また「相対的に収益が高い分野」に1000億ドル超投資する計画で、価値ベースで資産は向こう3年間、横ばいと予想。今年と来年を中心に総額約60億ドルのリストラ費用を計上する見通しを示した。

HSBCは新型コロナウイルス流行について、スタッフや顧客に大きな影響があり、長期的に収入が減少するほか、サプライチェーンが阻害される中、不良債権が増加する可能性があると説明した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米印首脳が電話会談、関税導入後3回目 二国間関係な

ワールド

トルコ中銀が150bp利下げ、政策金利38% イン

ワールド

ウクライナ、米国に和平案の改訂版提示 領土問題の協

ビジネス

米新規失業保険申請、約4年半ぶり大幅増 季調要因の
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 8
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中