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オープン外債、ドル100─105円の押し目捉え増額=第一生命運用計画

2018年04月23日(月)18時48分

 4月23日、第一生命保険は、2018年度の一般勘定資産運用計画について、オープン外債の残高を積み増す方針を示した。都内で2010年撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

[東京 23日 ロイター] - 第一生命保険<8750.T>は23日、2018年度の一般勘定資産運用計画について、オープン外債の残高を積み増す方針を示した。1ドル108円を中心としたレンジ展開を予想しており、100─105円程度の押し目を付ける場面で買い増す。

為替ヘッジ付外債への投資は、ドルのヘッジコスト高止まりで慎重姿勢。円債は、償還等により純減になる見込みだが、プロジェクト・ファイナンスなどへの投資は継続する方針だ。

同社の運用企画部長の重本和之氏が、23日に行った運用計画説明会で明らかにした。

為替ヘッジを付けないオープン外債は17年度に続き残高を積み増す方針だ。今年度のドル/円の想定レートは100─115円。金融政策の方向性の違いから、対ドルや対ユーロでは円安方向の圧力がかかりやすいとみており、極端な円高を予想しているわけではない。

そこでオープン外債については「ドル/円のちょっとした押し目を捉えて、増額する方向」(重本氏)であるという。重本氏によると、押し目とは100─105円を想定している。ただ、あくまで現状の経済状況が続く前提であり、地政学リスクが高まるような中での円高下では買いにくくなるとの考えも示した。

為替リスクを抱えることになるオープン外債を増やさざるをえないのは、ドルのヘッジコストが高止まりしているためだ。10年米国債の利回りは3%に近づいているものの、ヘッジコストも2%半ばであり、実質的な利回りは低い。

ヘッジ付外債は17年度は減少。18年度はヘッジコストや金利水準次第だが、米国やオーストラリア、ニュージーランドなどヘッジコストが高い国の残高が「増加する可能性は極めて低い」(重本氏)という。

通貨分散は進んでおり、09年度に19カ国、8通貨だった自社による外債運用先は18年度初めには39カ国、23通貨に拡大している。昨年度、ポルトガルやハンガリーなどが投資対象先に加わったが、今年度、無理に拡大するつもりはないとしている。

円債は昨年度増加したが、あくまで負債とのデュレーションを合わせるための金利スワップの増加によるもの。低金利環境が続く中で、現物は減少している。今年度もプロジェクト・ファイナンスやアセット・ファイナンスへの投資を続けるものの、償還等により残高は純減となる見通しだ。

重本氏によると、円債への投資残高を減少させたいわけではなく、むしろ増やしたいという。ただ、あくまで高収益資産への投資が中心であり、「日本国債の30年債利回りが1%になったからといって、すぐに買うわけではない」(重本氏)との見方を示している。

世界景気は来年度には後退リスクが高まるが、少なくとも今年度は堅調な状態が続くと重本氏はみている。このため、前年度に続き今年度も国内株は残高減少を予定しているものの、成長力が高い銘柄には投資を継続する方針だ。

一方、前年度に残高を増加させた外国株は今年度、リスク許容度や株価水準次第で残高を機動的にコントロールする予定だ。世界景気の先行きを見越せば、「そろそろ利益確定のとき」(重本氏)という。

オルタナティブは前年度に引き続き増加の計画。ヘッジファンドはポートフォリオ全体のリスク分散につながるファンドに投資する。プライベートエクイティはバイアウト・ファンドやインフラ・ファンドへの投資を続けるとしている。

不動産は前年度に食品スーパーなど生活密着型の商業施設に投資するなどして、残高が増加した。今年度も継続方針だが、残高は横ばいの見通し。

今年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り  0.00―0.20%(年度末中心0.10%)

米10年債利回り     2.50─3.50%(同2.80%)

日経平均         20000─28000円(同23000円)

米ダウ          23000─29000ドル(25000ドル)

ドル/円         100―115円(同108円)

ユーロ/円        120―150円(同135円)

(伊賀大記 編集:田中志保)

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