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黒田緩和は実質ヘリマネ、国債増発望ましい=本田・前内閣官房参与

2016年07月29日(金)18時56分

 7月29日、前内閣官房参与の本田悦朗・駐スイス大使は、日銀が進める80兆円の国債買い入れは、実質的にヘリコプターマネー効果を持つと指摘した。都内で3月撮影、当時は前職(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 29日 ロイター] - 前内閣官房参与の本田悦朗・駐スイス大使は29日、ロイターとの電話インタビューの中で、日銀が進める80兆円の国債買い入れは、実質的にヘリコプターマネー効果を持つと指摘した。

また、政府の経済対策は、真水10兆円が望ましいと提言。アベノミクスによる税収拡大で新規国債の発行額が減少しているため、国債増発余力が大きいと強調した。

本田大使は「ヘリコプターマネーをめぐる日本国内の議論には、混乱がみられる」と述べたうえで、中央銀行による国債の直接引き受けという意味では「日銀は年間80兆円の国債買い入れにより、年30兆円超の新規発行国債をすべて買い入れており、その意味で実質的にヘリコプターマネー効果がある」と解説した。

<日銀のETF増額、「一段の利回り曲線平坦化を懸念」>

厳密な意味でのヘリコプターマネーは、中央銀行による国債の直接引き受けだが「日本で実施するには、財政法改正が必要。その際に無用の議論を呼びかねない」として、日銀が現行の巨額国債買い入れを継続することで「実質的なヘリコプターマネー政策を継続することが、成長率・物価の押し上げに重要」と強調した。

物価が2%に達すれば日銀は買い入れを縮小するため、「ハイパーインフレ懸念は不要」とした。

29日に日銀が打ち出した上場投資信託(ETF)の買い入れ増額については「国債買い入れやマイナス金利の拡大では、すでに平坦化した利回り曲線がさらに平坦化し、金融機関の収益に悪影響を与える。それを回避するための選択だろう」と解説した。

<経済対策「理想は真水10兆」>

政府の経済対策では「需給ギャップ縮小のためには、10兆円程度の真水が望ましい」と強調。「基礎的財政収支の改善に配慮し財政投融資を拡充する意向は理解可能だが、短期的な需要刺激には赤字・建設国債発行が望ましい」と強調。

リニアモーターカーや新幹線の無制限の延伸は、費用対効果の観点から課題が大きいとの見方を示した。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

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