ニュース速報

ビジネス

訂正:三菱自、相川社長が6月引責辞任 益子会長は新体制発足まで続投

2016年05月19日(木)15時48分

 5月18日、三菱自動車工業 は、相川哲郎・代表取締役社長兼COOと中尾龍吾・代表取締役副社長が6月24日付で辞任すると発表した。4月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai/File Photo)

[東京 18日 ロイター] - 三菱自動車<7211.T>は18日、相川哲郎社長と中尾龍吾副社長が燃費偽装問題の責任をとり、株主総会を開く6月24日付で辞任すると発表した。両氏は不正が発覚した開発部門に長年携わってきた。後任の社長は未定。益子修会長は新体制ができるまで現職にとどまり、それまでの間の報酬すべてを自主返納することを明らかにした。

三菱自は不正の温床となった開発部門を抜本的に改革するため、資本提携で基本合意した日産自動車<7201.T>から同部門のトップを招く方針を決めている。 相川社長は、辞任する理由について、「開発部門の責任者も務めていたことを鑑みた」とし、「開発部門出身の私が社長として残ることは改革の妨げになる」とも説明した。

益子会長は、相川社長の後任について「まったくの白紙」とし、これから株主の三菱グループ3社と「相談する」と述べた。また、「組織風土を十分に変えることができなかった」と自身の責任も認めた。再発防止に向けた体制づくり、日産との調整や相乗効果の見極めなどに早急に取り組むことが自分の課題であると語り、「新体制に引き継ぐまでが私の使命」として新体制発足後に辞任する意向を示唆した。

<経営陣から直接、不正の指示なし>

三菱自は18日、燃費偽装に関する追加調査結果の内容を国土交通省にあらためて報告した。一連の不正について、経営陣は「直接、不正を指示していない」とする一方、開発部門の実態を十分把握していなかったことを指摘。開発日程の短縮や高い燃費目標を期待する経営陣の発言が結果的に不正を生む環境を作った、と結論付けた。

燃費偽装が最初に判明した軽自動車4車種に関しては、性能実験部が燃費目標達成の業務を子会社に丸投げし、報告の検証を怠ったという業務責任上の問題や、燃費目標をとりまとめる業務が同部内で完結し、外部チェックが十分に及ばなかったことなどを不正発生の背景や原因として指摘した。

軽4車種以外の販売中の車では、SUV(スポーツ用多目的車)「パジェロ」のガソリン車で、燃費試験用データの転がり抵抗と空気抵抗に関して別の車の低い値を恣意的に組み合わせて使っていたことが判明。パジェロ、SUV「アウトランダー」のプラグインハイブリッド車とガソリン車、ミニバン「デリカD:5」、SUV「RVR」でも、重量補正や無段変速機(CVT)とタイヤの改良補正などに際して過去の試験結果を基に机上計算していたことなどが新たにわかった。(訂正)販売終了車で不正がなかったどうかは引き続き調査する。

*会社側の訂正により本文中の不正車種を追加します。

(白木真紀、宮崎亜巳)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏「黒人の歴史は米国の歴史」、アフリカ系有

ワールド

米大学のガザ反戦デモ、バイデン氏再選妨げずと側近 

ビジネス

米MS、「コールオブデューティ」をサブスク提供へ=

ビジネス

豪BHP、英アングロ買収案の引き上げ必要=JPモル
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 7

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 8

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 9

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中