ニュース速報

ビジネス

銀行券ルールの停止、問題起きてない=黒田日銀総裁

2015年05月25日(月)17時22分

 5月25日、黒田東彦日銀総裁は午後の参院決算委員会で、量的・質的金融緩和(QQE)の導入を機に適用を停止した、いわゆる「銀行券ルール」について、現段階で適用停止による問題は起きていない、と語った。22日撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 25日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は25日午後の参院決算委員会で、量的・質的金融緩和(QQE)の導入を機に適用を停止した、いわゆる「銀行券ルール」について、現段階で適用停止による問題は起きていない、と語った。

通貨の信認維持には、物価の安定が重要との認識も示した。金子洋一委員(民主)の質問に答えた。

「銀行券ルール」は、日銀の長期国債保有額について銀行券発行残高を上限とするもので、国債買い入れが財政ファイナンス(穴埋め)と受けとられないための1つの基準といえる。大規模な国債買い入れを柱としたQQE導入を機に適用を停止しており、現在の日銀は銀行券発行残高を大きく上回る長期国債を保有している。

銀行券ルールの適用停止の弊害を問われた黒田総裁は「問題は起きていない」とし、「むしろ量的・質的金融緩和のもとで、日本経済は所得から支出へという好循環に乗ってきている」と語った。

そのうえで、日銀による大規模な国債買い入れは「金融政策が目的であり、財政ファイナンスではない」と強調。日銀が目指す物価2%が達成され、それが安定的に持続するような状況になれば、「銀行券ルールをどうするのか、検討が必要だ」と述べた。

<消費増税の影響、予想よりもいく分大きかった>

2014年度の実質経済成長率が前年比1.0%減となり、当初見通しから大きく下振れたことについては、昨年4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が長引いたことや、夏場の天候不順など「消費面の弱さが一番大きな要因」と説明。消費増税の個人消費への影響についても「落ち込みが予想よりもいく分大きかった」と述べた。

もっとも、慎重化していた消費者マインドについて「このところ持ち直しの動きが明確になっている」とし、実際の個人消費も3四半期連続でプラスとなるなど「底堅さが増している」との認識を示した。

物価面では、足もとの消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比上昇率がゼロ%程度に落ち込んでいるが、「物価の基調は着実に高まっている」と主張。下押し要因となっている原油価格の下落についても「やや長い目でみれば経済に好影響を与え、物価の上昇要因になる」との見解を繰り返した。

また、通貨の信認維持に重要なのは「物価の安定確保」とし、物価は「デフレもいけないし、2%を大きく超えてインフレになってもいけない」と指摘。2%の物価安定目標の達成に向け、必要なら「ちゅうちょなく政策調整する」と語った。

(Reporting by Sumio Ito)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドの格上げ、今後2年の財政状況見極めながら検討

ビジネス

財新中国製造業PMI、5月は2年ぶり高水準 生産と

ビジネス

トヨタ・マツダ・ホンダ・ヤマハ発・スズキ、型式指定

ワールド

メキシコ、初の女性大統領誕生へ 与党シェインバウム
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...すごすぎる日焼けあとが「痛そう」「ひどい」と話題に

  • 4

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 5

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 6

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…

  • 7

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 8

    「娘を見て!」「ひどい母親」 ケリー・ピケ、自分の…

  • 9

    中国海外留学生「借金踏み倒し=愛国活動」のありえ…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 4

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中