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ケイン氏がFRB理事指名を辞退、報酬減と影響力低下が理由

2019年04月23日(火)07時54分

[22日 ロイター] - トランプ米大統領が連邦準備理事会(FRB)理事への指名を検討していた元ピザチェーン経営者、ハーマン・ケイン氏が22日、指名を辞退した。保守系ニュースサイト「ウェスタン・ジャーナル」に掲載したコメントで明らかにした。

ケイン氏はFRB理事就任に伴う影響力の低下と報酬の減少を辞退の理由に挙げた。

ケイン氏を巡っては今月11日時点で、共和党の上院議員4人がFRB理事指名に反対する意向を示し、指名承認に必要な支持が得られない可能性が高まっていた。[nL3N21T4OI]

ケイン氏は、当初は指名を辞退しない考えだったとした上で、「週末の間に、指名を引き受けることのコストが重くのしかかり始めた」と説明。「また、(理事就任で)政策にわずかなインパクトを与える代わりに、自身の影響力がかなり失われるのではないかとも考え始めた」とした。

ケイン氏はツイッターやラジオ番組を介して保守系のコメントを日々配信しているほか、講演も頻繁に行っている。FRB理事に就けば、こうした活動は禁じられる。

ケイン氏はまた、FRB理事就任に伴う報酬の減少についても触れ、これほどの減給を受け入れるよう求められれば誰でも断るとの見解を示した。

トランプ大統領は22日、ケイン氏のコメントに先だち、ケイン氏が指名検討を辞退したことを明らかにしていた。

大統領は「友人であるハーマン・ケイン氏は実に素晴らしい人物だが、同氏からFRB理事候補に指名しないよう要請があった。ケイン氏の意思を尊重したい。ケイン氏は偉大な米国民で、心から米国を愛している!」とツイートした。

ケイン氏は22日時点でコメントを求める電話取材に応じなかった。

トランプ大統領はケイン氏のほかに保守系経済評論家のスティーブン・ムーア氏のFRB理事指名も検討。エコノミストの間からは、トランプ氏に近い人物をFRBに理事として送り込むことに懸念の声が上がっている。

この日は複数の民主党議員が、ムーア氏もFRB理事の候補から外す必要があるとの見解を表明。民主党のシューマー上院院内総務は、ムーア氏もケイン氏と同様にFRB理事に必要な適性は備えていないとし、「(ケイン氏が)適切な支持を得られなかったことが、上院共和党によるムーア氏の承認につながるようなことがあってはならない」と警告。ムーア氏は「米国の経済安定を脅威にさらす」とし、上院で過半数を握る共和党に対しムーア氏のFRB理事指名検討を排除するよう呼び掛けた。

ムーア氏はコメントを求める電子メールに返信していない。

*内容を追加して再送します。

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