ニュース速報

FRB、米経済リスク見極めに数回のFOMC必要に=ボストン連銀総裁

2019年03月06日(水)06時10分

[5日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、米連邦準備理事会(FRB)が景気リスクが現実のものとなるか、判断するためには「数回の会合」を要する可能性があるとの認識を示した。FRBが当面、利上げを見送る可能性を示唆した。

今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つローゼングレン総裁は、5日に行う講演の原稿で、以前は利上げしなければ景気が過熱するという懸念があったが、インフレ圧力がほとんど見られないことなどを受け、いまは「さほど差し迫ったものでない」との認識を表明。欧州と中国の成長減速、および通商問題を踏まえると、米経済が力強さを保つと確信することは難しくなるとの考えも示した。

今回の発言は、ローゼングレン総裁の認識が大きく変わったことを示す。総裁は1月、より楽観的な経済予想が現実のものとなるなら、今年2回の利上げが必要となる可能性はなお存在すると述べていた。

5日の講演原稿は「FRBの政策責任者が、リスクが現実となるか、経済が昨年と比べてどの程度減速するかについて見極めるのは、FOMCを数回開催してからになる可能性がある」と指摘。

「金融市場の熱が冷め、インフレ圧力の兆候は目先見当たらないことから、いまは経済動向を忍耐強く見守ることが適切な方針で、予想に関するリスクの賢明な管理といえる」と述べた。

次回FOMCは3月19─20日に開催される。その後は、4月、6月、7月に予定されている。

経済が自身の予想通りに展開すれば、利上げは正当化されるかとの質問に対しては、確約するものではないとしながらも、利上げが「検討事項となる」状況はあり得ると述べた。

ローゼングレン総裁は昨年、労働市場の引き締まりがインフレ懸念の高まりにつながる可能性があると指摘していたが、5日の講演原稿では、雇用市場の回復が物価上昇の「大きなリスク」をもたらしていないとの認識を示し、その理由として、企業がコスト上昇を吸収できるほどのマージンを確保している可能性を指摘した。

総裁は、今年の成長率が2%を若干上回り、インフレ率はFRBの目標である2%近くになると予想。

ただ、債券市場と海外の株式市場はなお高水準のリスクを織り込んでおり、米経済が今後どのようなリスクに直面するかについて、不確実なメッセージを発していると述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は小幅続落で寄り付く、米関税や米株安で 売

ワールド

トランプ米大統領、ネタニヤフ氏と会談 イスラエル・

ワールド

ロシア財政赤字、上半期は通年予想と同水準 対GDP

ワールド

8月1日の関税期限は確定、他の案も検討用意=トラン
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中