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ドル110円前半、米中経済の減速懸念で円買い進む
[東京 15日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル安/円高の110円前半。目先のサポートとみられていた110.35円を割り込んだドルは、米国や中国の景気減速懸念を背景に110.26円まで下落したが、午後にはドル売りが一巡し、110円前半で下げ止まった。
ドルは午前9時前にきょうの高値110.55円をつけたが、その後は、日経平均が前営業日比200円を超える下げとなったこと、中国の物価指標が弱かったこと、トランプ大統領が議会の承認を得ずにメキシコ国境の壁建設費用を確保するため、国家非常事態宣を宣言する方針を示したことなどの悪材料を受け、一時110.26円まで下落した。
「株価が予想外に弱かったことや、中国の景気減速に対する懸念が一段と強まったことで、きょうはリスク回避ムードが広がった。また、週末を控えたポジション調整もドル安/円高に寄与した」(外為アナリスト)という。
午前に発表された1月の中国の消費者物価指数(CPI)は前年比プラス1.7%、中国の卸売物価指数(PPI)は前年比プラス0.1%と、両指標とも市場予想を下回るさえない結果となった。中国の物価指標の低迷は、中国景気が一段と減速しているとの市場の懸念を裏書し、円買い圧力となった。
一方、前日に発表された12月の米小売売上高が1.2%減と「ショッキングな消費の冷え込み」(国内銀)を示したことで、年初来高値111.13円から急落したドルは、この日も弱い材料が意識されやすい地合いとなった。
トランプ大統領の非常事態宣言については、民主党のペロシ下院議長が、発令すれば提訴することもあり得ると語っており、「内政の停滞は、米国内の消費者や内外の投資家心理を冷え込ませる」(前出のアナリスト)との意見が出ていた。
増加予想が一転減少となった小売売上高を受けて、米アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」が算出する昨年第4・四半期の国内総生産(GDP)伸び率見通しは、13日時点の年率2.6%から1.5%へ大きく低下した。
市場では「米経済の一人勝ちは完全に過去のものとなったようだ」(ファンドマネジャー)との意見が聞かれ、きょう発表が予定されるニューヨーク連銀製造業指数などについても警戒感が広がっている。
ドル/円
午後3時現在 110.32/34 1.1284/88 124.50/54
午前9時現在 110.53/55 1.1293/97 124.84/88
NY午後5時 110.47/49 1.1299/04 124.78/82
(為替マーケットチーム)