加害者の親も、暴力を振るう理由が分からない

「子どもたちのゲームやSNSが原因です。今の子どもたちは放課後に直接遊ぶことが減り、自宅にいながら一緒にオンラインゲームをしたり、SNSでやりとりをしたりします。そこで何かしらのトラブルが起きていがみ合うわけですが、対面で接しているわけではないので通信を切断することしかできません。

そういう子たちは夜から朝にかけてずっと相手へのイライラを募らせる。そして問題を解決しないまま登校してくるので、教室で相手の姿を見た途端に殴りかかるのです。周りからすれば、一体何が起きたのかまったくわかりません」

対面で接していれば、その場で話し合って誤解を解き、仲直りしたりするだろう。しかし、オンラインの中では、それをすることが難しい。それがこうした暴力沙汰を引き起こしているのである。

このような新たな子どもたちの暴力の形は、拙著『傷つけ合う子どもたち』に詳しく述べたので細かくは譲ることにするが、共通していえるのは、近年の子どもたちの生活環境が、これまでとは異なる暴力の形を生み出しているということだ。

メディアが校内暴力の増加を報じたり、学校で暴力沙汰があったと聞いたりすれば、親は「最近の子は訳が分からない」「先生の指導が悪い」などと思うかもしれない。

他方、加害児の親の方は、子どもが暴力をふるう原因を正確に把握していないので、「もう二度とやっちゃだめよ」と表面的な注意をするしかない。

しかし、重要なのは今の子どもたちの間で出現する暴力の背景にあるものをきちんと見定め、子どもが加害者にならない取り組みをすることだ。

スマホやゲームが悪いというつもりはない。今の親に必要なのは、それはそれとしてやらせつつ、それだけでは育たない能力をどのように培っていくべきかを正確に把握することなのである。

『傷つけ合う子どもたち――大人の知らない、加害と被害』
傷つけ合う子どもたち――大人の知らない、加害と被害
 石井光太・著
 CEメディアハウス

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[筆者]
石井光太(イシイコウタ)
1977年東京都生まれ、作家。 著書に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『レンタルチャイルド』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』『ルポ 誰が国語力を殺すのか』『ルポ スマホ育児が子どもを壊す』など多数。

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その一部を紹介する形で、今の子どもたちの間で起きている暴力を示したい。
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