<メローニ政権を支える連立政権の足元が揺らぐかもしれない>
[ロンドン発]来年末までに行われるイタリア総選挙で新興の強硬右派ロベルト・ヴァンナッチ氏が強い男性の役割を賛美する「地中海的家父長制」をぶち上げたと英紙タイムズ(8月12日付)が報じた。同国初の女性首相ジョルジャ・メローニ氏を支える連立の足元が揺らぐ。
世論調査で支持率を7%台に伸ばすヴァンナッチ氏の新党「国家の未来」がマニフェスト(政権公約)の第1部を公表した。その中で、理想とするイタリアには「感情や情熱をコントロールし、女性を守ることができる強い男性」の存在が必要不可欠と唱えている。
ヴァンナッチ氏は特殊部隊出身。移民問題ではメローニ氏より右寄りで、すでにイタリアにいる移民の帰国を促す。これを意識して、メローニ氏はスペインの飛び地セウタにモロッコから約7万2000人がなだれ込んだ際、同国との間で一時的な国境検査を導入した。
イタリアのアイデンティティーは「ギリシャ的、ローマ的、キリスト教的」
イタリアのオンラインメディア、Fanpage.it(8月12日付)は、100ページ以上に及ぶ「国家の未来」のマニフェストについて、欧州の極右が好むテーマに言及し、ファシズムのレトリックを用いていると分析している。
イタリアのアイデンティティーは「ギリシャ的、ローマ的、キリスト教的」とし、これを受け入れない者は市民権を取得できないと断じる。メローニ政権下で成立した「フェミサイド(ジェンダー動機を伴う女性殺害)」について他の殺人罪と区別すべきではないと反対する。
イタリアで妻の不貞だけを処罰する刑法上の男女差別が違憲とされたのは1968~69年。性犯罪者が被害女性と結婚すれば刑事責任が消滅する「名誉回復婚」と、家族の「名誉」を理由とする殺人などを軽く処罰する規定が廃止されたのは81年だった。
こうした法改正は、女性を男性の「保護対象」ではなく、自立した権利主体として扱うものだった。