「食道がん、ステージ4」

そう告げられたのは昨年4月15日のことだった。国立がん研究センター東病院のベテラン内科医の説明に、私はしばし目を瞑(つむ)って考えた。

何を意味するのか、分かっている。複数の遠隔転移があって手術はできない。増悪のスピードも速い。

1年後、生きていることはない。

私が知る限り、そうだった。

おそらく、夏までは普通の生活が送れる。しかし、その先は痛みを堪(こら)える日々になる。早めに近所の緩和ケア病棟を予約しなければ……。

わずか10分ほどの診察の間で、そんな覚悟を決めていた。

私は食道がんについて知りすぎていたのかもしれない。取材のテーマの1つが「がん治療」で、数多くのがん患者を見てきた。

始まりは52歳だった6年前の自身のがん闘病だった。食事が喉を通らなくなり、食道がんステージ3と診断された。東大病院の院長は「全摘手術ができる」と言ったが、手術法に不安を覚え、途中でがんセンターに転院した。そこでもロボット手術を直前になってキャンセルし、放射線治療に切り替えた。食道を失ったら取材現場への復帰が難しいと考えたからだ。

食道がんの治療は通常、数カ月に及ぶ。それが功を奏した。その期間に医療を調べ、専門医に会って話を聞き、自分の生き方と照らし合わせて治療を変更していった。

「手術ができないステージ4bは、1年以内に亡くなる」という思い込みは過去のもの
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