<一部の州では議席獲得に必要な5%のラインすら突破できなかった>

[ロンドン発]ドイツのフリードリヒ・メルツ首相が発足からわずか16カ月で政権崩壊の危機に瀕している。9月6日のザクセン・アンハルト州議会選に続いて20日のメクレンブルク・フォアポンメルン州議会選とベルリン州議会選でも惨敗を喫した。

メクレンブルク・フォアポンメルン州議会選でメルツ首相の出身母体であるキリスト教民主同盟(CDU)は得票率4.9%に沈み、議席獲得に必要な5%ラインを突破できなかった。CDUがドイツの州議会から締め出されるのは戦後初めてで、5年前の前回選挙から8.4ポイントを失った。

極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は38.2%で第1党、マヌエラ・シュヴェージヒ州首相率いる社会民主党(SPD)は4.1ポイント減の35.5%。ベルリン州議会選でも左翼党が13.5ポイント増の25.7%で初めて首位に立ち、CDUは9.5ポイント減の18.8%に沈んだ。

「大惨事だが、改革は実行しなければならない」

メルツ首相はメクレンブルク・フォアポンメルン州議会選での惨敗を受け「取り繕うことはできない。大惨事だ」と認めた。退陣圧力を跳ね返すように「改革は実行しなければならない。いま必要なのは強い意志、揺るぎない姿勢、忍耐力だ。首相としてそれを示す」と明言した。

今回の結果が映し出すのは「ドイツの右傾化」という単純な図式ではない。旧東独のメクレンブルク・フォアポンメルン州ではAfDが前回の得票率を倍増させた。首都ベルリンでは左翼党が得票率を倍以上に増やし、16~24歳では左翼党支持が43%に達したとの出口調査もある。

CDUとSPDという戦後ドイツを支えてきた中道の二大政党が右からAfD、左から左翼党に浸食される。従来の労働者対資本家という階級対立が崩れ、「地方の高齢化とコミュニティーの崩壊」と「都市の生活費危機と若者の貧困」という新しい政治的亀裂が広がる。

メルツ首相の後継者を巡るCDUの党内合意はない
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