<「歴史的」と評された協調介入から間もなく2週間。背景には当局のどんな思惑があったのか。これからドル円はどの方向に動きそうか>
5月のゴールデンウイーク中の為替介入を受けて、「為替介入は『無駄打ち』だったのか? 高市政権『ドル売り』の戦略的な二面性とは」を寄稿した。為替介入の本来の目的は投機的な値動きを抑制することだが、この時の為替介入は160円を超える円安は許容しないことを明示した意味合いが大きいとした。
そして、①円安の行き過ぎを批判する世論への政治的な対応、②ドル売り介入で政府の為替差益を積み上げ、減税・歳出拡大を後押し、という戦略的な意味合いを持つと筆者は評価した。
その後、7月後半には163円台まで円安が再び進んだ。7月30日に当局が為替介入に動いたとの観測から160円を割り込むまで円高方向に動いた。
翌31日にも連日で円買い介入が行われ、8月3日に日米当局が協調介入を正式に確認すると、円相場は一時155円台まで大きく円高に振れた。その後、円相場はやや円安に動き、8月11日には159円台で推移している。
日米当局の利害が一致した協調介入は、歴史的な対応などと評価されている。
実際には、日本の当局が介入した理由は5月と全く同じであろう。160円台の円安は政治的に容認しにくく、米国要因で円安が進んだので外為特会(外国為替資金特別会計)の為替差益をさらに積み上げる絶好の機会になった、ということである。
米国は日本からの要請に応じて協調したとみられる。ただ、米当局によるドル売り介入は米国債市場を自ら混乱させる可能性があるので、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で金融市場における金融政策への思惑が落ち着くまで、米国当局は時期を待ったのだろう。