最新記事
中国

中国・習近平時代は一体いつまで続くのか?

China’s Xi Era

2025年10月30日(木)12時10分
練乙錚(リアン・イーゼン、経済学者)
中国4中全会で見えた「習近平時代」の行方 REUTERS

中国4中全会で見えた「習近平時代」の行方 REUTERS

<軍幹部9人を粛清し開幕した4中全会で絶大な権力を内外に示した最高権力者の歩む道>


▼目次
台湾有事を利用する?
残るは衰退の道のみか

1億人を超える中国共産党の党員のうち、中央委員約200人と候補委員が集まる全体会議が10月20日に始まり、23日に終わった。党創立から数えて第20期で4回目の全体会議(4中全会)だ。

これに先立ち、中国ウォッチャーの間では、習近平(シー・チンピン)党総書記(国家主席)が4中全会で失脚するのではといった臆測がまことしやかに流れていた。だが、こうした予測は大外れだった。来年から始まる第15次5カ年計画の説明が延々と続き、採択されたこと以外、これといったドラマのない4日間だった。

それでも疑問はある。いったい習はいつまで権力を握り続けるのか。そのもっともらしい(しかし不快な)答えは、「非常に長い間、ひょっとすると10年以上」というものだ。その理由を考えてみよう。

4中全会が開幕する3日前の10月17日、中国軍の幹部9人の粛清が発表された。全員が最高位の上将だったが、重大な汚職と党の規律に反する行為が明らかになったとして、党籍を剝奪され、近く起訴されることも明らかになった。

政治も社会も「党の指導」が絶対とされる中国では、軍も党中央軍事委員会の指導下にある。トップを務めるのは習だ。今回処分されたなかには、何衛東(ホー・ウエイトン)・同委副主席や、6月に中央軍事委の委員を解任された苗華(ミアオ・ホア)が含まれていた。

それは重要な会議を前に、党内外に「衝撃と畏怖」を呼び起こす絶妙なタイミングでの発表だった。すぐに国営メディアが簡潔だが強烈な追認記事を出し、習の去就をめぐる噂を吹き飛ばし、4中全会で明白な(しかし暗黙の)メッセージを示すのに十分な環境をつくり出した。すなわち、習が2037年まであと2期、トップの座に居座ることだ。

習が12年に党総書記に就任してからの言動を振り返ると、彼がこの「習近平時代」をどのようにするつもりなのかが見えてくる。最初の明確なサインは、17年に発表された「新時代の中国の特色ある社会主義思想」だった。

それによると、中国は改革開放以降の成長一辺倒の段階から、質の高い発展の段階へと移行し、35年までに一連の野心的な国家目標を達成する。その重要な骨格を成すのが、3つの5カ年計画と、国家統一(すなわち台湾侵攻)だ。

newsweekjp20251029024507.jpgnewsweekjp20251029023811.jpg

中国共産党が習近平時代以外に正式に認める「時代」は毛沢東時代(上)と鄧小平時代の2つだけだ FROM TOP: SOVFOTOーUNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES, EDOARDO FORNACIARI/GETTY IMAGES

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、ロシアが和平努力拒否なら米に長距離

ビジネス

ナスダックが取引時間延長へ申請、世界的な需要増に照

ビジネス

テスラ、ロボタクシー無人走行試験 株価1年ぶり高値

ワールド

インド、メキシコと貿易協定目指す 来年関税引き上げ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 7
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中