パリの地下鉄にあって日本にないもの──「自由」が生む豊かさの正体
「責任ある自由」が秩序をつくる
そんな車内だから、スマホでの通話など、音量的に微々たるものでほとんど気にならない。もちろん、話す人は隣席で本を読んでいる人の邪魔をしないように、上手に小声で話している。
日本ではシートの色を変えてはっきりと存在しているシルバーシートも、ほとんどのメトロ車両にはない。新しい車両の窓にときおりそれらしいシールが貼ってあるが、誰も気にしていない。
すでに書いたように、座る席を必要とする乗客をみつければすぐ、あくまで自発的に笑顔で席を譲る、というのがパリのメトロのルールだから、そんな席をわざわざ色を変えてつくる必要がない。隣の空いている席にカバンを無造作に置く人も多いが、混んでくると膝の上に移すし、気づかなくとも「パードン」と小さく声をかければ、爽やかにすぐどける。
パリのメトロには自由があり、禁止と強制がない、という感覚が伝わっただろうか。
自由と、そして禁止と強制はひとつの対立概念ともいえる。自由なところに禁止と強制はなく、禁止と強制があるところには自由はない。パリ市内を走るメトロ、バス、トラムの車内風景で象徴的にあらわれる、彼らの自由と、そして禁止と強制の抑制は、そうした公共交通の車外にも広がっている。
男女別の更衣室も、ブラック校則もない
この夏、パリで何カ所もの市民プールに出かけてよく泳ぎ、ソラリウムと呼ばれる屋外エリアでからだを焼いた。
フランスのプールの更衣室は日本と違って男女にわかれていない。大きな更衣室フロアがあって、そこに並ぶ個室のひとつで男も女も着替えをする。男女別更衣室の「男の入室禁止(あるいは女の入室禁止)」がない。
プールに入っても日本のように監視員が高いところで見張って強い笛を鳴らしたりはしない。プールサイドからそれとなく見ていて、危ないな(飛び込みなど)と思うと、そこに行ってコミュニケーションをもつ。禁止でも強制でもない、話し合いで事故を防ぎ、禁止の笛が鳴りわたることはほぼない。

学校のなかはどうだろうか。フランスの公立校は中学、高校とも制服はなく、服装、髪型、髪色(フランス人の髪色はもともとブラウン、ブロンド、黒、赤と多様である)についても自由なところがほとんどで「スカートの丈の長さ」などという問題は発生しない。
日本の学校は中学、高校ではほとんど制服があり、学校生活のなかでの禁止と強制のオンパレードを事細かに校則が定めている場合が多い。一方、フランスの学校が校則として明示しているのは大前提としての自由の尊重(および他人の権利の尊重)と、自由にともなう責任がある、ということが多い。
こうしたフランスの校則の精神は、そのままパリのメトロの車内にも息づいている。
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