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フランス

パリの地下鉄にあって日本にないもの──「自由」が生む豊かさの正体

2025年10月25日(土)09時00分
林巧(作家)*PRESIDENT Onlineからの転載

高い生産性とジェンダー平等を支える「自由」の文化

労働生産性の向上が目指すのは、豊かで幸せな暮らしだ。ジェンダーバランスの均衡が目指すのも、すべての人たちにとっての、豊かで幸せな暮らしだ。

それはおそらく禁止と強制からは生まれない。そして責任のある自由が大きくかかわってくる。労働生産性の指数も、ジェンダーバランスの均衡の指数も、世界で最上位層に位置する国の多くは、目下のところ、北欧の諸国とアイスランド、アイルランドである。


パリのアパルトマンで楽器を弾く(吹く)ことは、なかなか難しい。旧いアパルトマンは素敵にみえるが、音は相当に響く。楽器の音を鳴らしていたわけではないが、音楽は聴く。それでも階下の住人のフランス人から怒鳴り込まれたことがあった。

日本からもってきた楽器がある。東京で祭り囃子をやっていて、その囃子に使う篠笛が2本。古典調子といって西洋音階ではない囃子のための篠笛の4本調子(As dur/変イ長調)と、唄笛といって西洋音階に調律した篠笛の3本調子(G dur/ト長調)。

パリ郊外のセーヌ川沿いにサン・クルーという城があり、かつてナポレオン・ボナパルトも暮らしたが、普仏戦争で城は焼け落ち、外郭の庭園と広大な森が残された。アパルトマンでは吹けないので、ここの深い森であるときから篠笛を吹くようになった。

パリ郊外イル・ド・フランス地域圏のオー・ド・セーヌ県にあるサン・クルーの城跡公園。城の外郭遺跡に広大な森がつづく。

パリ郊外イル・ド・フランス地域圏のオー・ド・セーヌ県にあるサン・クルーの城跡公園。城の外郭遺跡に広大な森がつづく。(筆者撮影)

禁止のない森で生まれた即興のセッション

いろいろなフランス人との出会いがあったが、とりわけ忘れられないことがある。

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