最新記事
韓国社会

韓国ソウル市、10月に完全非接触「タグレス」交通システム導入へ カードをかざさず電車やバス乗車が可能に

2025年6月30日(月)16時00分
佐々木和義

「モバイルT-Money」のアップストア画面

「モバイルT-Money」のアップストア画面


現在はスマホアプリの「モバイルT-Money」の利用者が多い一方、リアルカードの利用者は多くはない。筆者など居住者は後払い交通カード機能が付帯されたチェックカードやクレジットカードを使うことが一般的だ。チェックカードはデビットカードとキャッシュカードが一体となったカードで、クレジットカードと同様、1カ月の利用分が銀行口座から引き落とされる。

一方、旅行者にはWOWPASS(ワウパス)やDOZN EXCHANGE(ダズンエクスチェンジ)といったプリペイド式決済アプリが普及している。基本的な使い方はクレジットカードと同じで、T-Money機能が備わっている。

温暖化対策へ乗り放題の交通カードを導入

韓国は地下鉄の便のいいソウル首都圏ですらマイカーの利用率が高く、大気環境の改善と交通混雑、不法駐停車、交通事故などが問題となっている。そのためソウル市は2024年1月、「気候同行カード」と呼ばれる乗車無制限の交通カードを導入した。ソウル市内の地下鉄やバスを30日間、回数無制限で利用できるカードである。乗車駅と下車駅の双方がソウル市内なら使用できるが、下車駅がソウル市外だと使用できない。バスは事業免許がソウル市の場合、乗車区間に関わらず利用できる。

市が運営するレンタサイクル「タルンイ(따릉이)」も利用できる気候同行カードは65000ウォン、「タルンイ」を利用できないカードは62000ウォンで、ソウル地下鉄の初乗り運賃1400ウォンの44回分余りに相当する。自宅と職場がいずれもソウルであれば、1カ月分の通勤代で乗り放題になる計算で、区間によっては通勤定期より安くなる。

同年7月には観光客向けの気候同行カードも登場した。1日券、2日券、3日券、5日券、7日券の5種類で、ソウル市内の地下鉄とバスが乗り放題となるカードである。空港鉄道はソウル市内で乗車すると仁川空港まで利用できるが、空港からソウルへは利用できない。

一方で現金の利用は不便に

このように交通カードの利便性が増す一方で、現金利用は難しくなっている。ソウルの地下鉄は2005年から紙の切符を廃止し、T-Moneyを利用するか、1回用交通カードを購入する必要がある。1回用交通カードを購入する際には、区間運賃に500ウォンの保証金が加算され、下車駅で精算機に挿入すると保証金が返還される仕組みだ。これはカードの紛失や持ち帰りを防ぐための措置である。

またカード専用バスも増えている。乗務員の運賃収受の手間を省く目的で導入されたが、運転手が受け取った運賃を運賃箱に入れずに着服しているという指摘が従来からなされており、着服を防ぐ意味合いもある。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、今月初めの米軍による攻撃で兵士47人死

ワールド

EU、重要インフラでの中国製機器の使用を禁止へ=F

ワールド

イラン抗議デモ、死者3000人超と人権団体 街中は

ワールド

韓国、米のAI半導体関税の影響は限定的 今後の展開
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 6
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中