最新記事
日中関係

日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を与える? 調査が示す企業の「本音」

2026年1月15日(木)12時00分
中国浙江省寧波の港に並ぶコンテナ

中国浙江省寧波の港に並ぶコンテナ。2019年5月撮影。REUTERS

1月のロイター企業調‌査で悪化する日中関係について聞いたところ、7割弱が日本経済への影響を懸念していると回答した。一方、自社の事業への影響は6割弱がほとんどないと答え、3割超‌が今後に懸念を示した。

調査は昨​年12月24日ー1月7日に実施。期間中の6日、中国政府は日本向け軍民両用(デュアルユース)品目の輸出管理を強化すると発表した。ただ、影響が懸念されるレアアース(希土類)が含まれるかどうかなど、対象品目は今も判然としていない。


調査発送企業は494社で、237社が回答した。このう‌ち、訪日客需要に左右されそうな運輸・小売・サービス関連は約3割、レアアース輸出制限の影響を受ける可能性のある製造業は5割程度を占める。

日本経済に「マイナス影響がある」と回答したのは68%、「影響はない」は26%だった。

自社の事業活動に影響が「すでに出ている」は9%、「ほとんど影響がない」は57%だった。35%が「今後予想される」と回答した。

「すでに影響が出ている」「今後、影響が予想される」と答えた企業に、具体的にどのような面で影響が出ている、あるいは出ると予想しているか尋ねたところ、「売上減少」が56%、「原材料や部品調達などサプライチェーン」が51%​だった。

影響が出ている企業からは「中国企業の調達活動は自国内か⁠らの調達に大きく変化しており、影響を受けている」(電機)、輸出規制強化の対象となる可能‍性のあるレアアースは「代替策がなく、死活問題」(同)、「ホテルなどの事業では中国人客の減少で稼働率や客室単価に影響が出始めている」(鉄道)との声があった。

今後影響を予想する企業は、訪日客減少で「消費が減る」(食品)、「外食・ホテル業界の業績が悪化する可能性がある」(機械)ことなどを懸念。「中国からの輸入材料が‍入手困難になった場合、他国から高い材料を輸入せざるを得ない可能性がある」(‍輸送用‌機器)、「日中関係の悪化が継続・さらに悪化すれば現在検討している中国‍への設備投資に一定の障害となる」(機械)との声も聞かれた。

ほとんど影響がないと回答したある企業は、「中国子会社があるが、連携などには全く問題が出ていない。政府と民間は別という意識が感じられる」(金属製品)とした。もともと中国との取引がなかったり、中国比率を抑えるなどリスク管理をしている企業も複数あった。

関係⁠悪化が長期化した場合、「拠点の統廃合や生産分散などを検討」(ゴム)、「売上げ、調達の(中国)比率を下げる方策の推進」(化学)、「ベトナムなど中国以外へのサプラ⁠イチェーンの拡大」(機械)、日本車販売が減少する場‍合は「中国事業撤退も視野」(輸送用機器)といった戦略の見直しを想定している企業もある。「各産業で脱中国をすべき」(電機)との意見も出ていた。

「中国経済の低迷が長引けば、その分、影響ある」(​機械)など、日中関係よりも中国経済の悪化を不安視する声もあった。「中国に限らず、依存度の高い国をつくることは好ましくない。短期的なマイナスは避けられないが、長い目でみれば良い方向に向かうのではないか」との意見も聞かれた。

(白木真紀 グラフィックス作成:照井裕子 編集:久保信博)



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2026トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプの帝国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月10号(2月3日発売)は「トランプの帝国」特集。南北アメリカの完全支配を狙う新戦略は中国の覇権を許し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、自身のSNSに投稿された人種差別

ビジネス

アングル:インド「高級水」市場が急成長、富裕層にブ

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 3
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    鉱物資源の安定供給を守るために必要なことは「中国…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 10
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 10
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中