いま、株式市場で三井住友フィナンシャルグループ<8316>の評価が高まっています。その理由については、「日銀の利上げ」という一言で説明されることが少なくありません。確かに金利が上がれば、銀行は貸出金の利ザヤが増えて利益は増えやすくなります。
しかしそれだけでは、現在の三井住友の評価の高まりを十分に説明できません。金利上昇の恩恵を受けるのは、他のメガバンクも同じだからです。
三井住友FGの評価を高める切り札
三井住友が市場で存在感を高めている背景には、金利上昇に加えて、将来の収益基盤づくり、利益成長、株主還元という3つの要素があります。
その象徴が、総合金融サービス「Olive」です。「お得なカード」「便利なアプリ」といったイメージがあるかもしれませんが、三井住友が目指しているのは、単に利用者を増やすことだけではありません。
2023年3月にサービスを開始した「Olive」は、銀行口座、クレジットカード、デビットカード、証券、保険、Vポイントをひとつのアプリに集約し、顧客の日常生活に入りこむ金融プラットフォームを構築しています。
たとえば、若者世代が給与口座の開設をきっかけに「Olive」を利用し、その後、NISAや投資信託、住宅ローン、保険へと広がれば、ひとりの顧客と長期にわたる関係を築くことができます。これは銀行にとって、将来にわたり利益を生み出す顧客基盤の拡大につながります。
2026年3月末時点での「Olive」のアカウント数は750万件。会社は、2027年末までに1200万アカウントという目標を掲げています。
■三井住友FGの成長シナリオ
ただ、「Olive」はもはや新規獲得数だけで評価される段階ではありません。今後は、収益化・メイン口座化が重要な評価軸となります。つまり市場が注目しているのは、将来にわたり安定した収益を生み出す顧客基盤を築けるかどうかです。
三井住友FGは、2026年3月期の最終利益が1兆5829億円となり、3期連続で過去最高益を更新。今期も、さらに最高益を更新する計画(1兆7000億円)です。あわせて年間配当は157円から180円へ増配し、1800億円を上限とする自己株買いも発表しました。