最新記事
韓国

韓国の分断は野党「共に民主党」が勝っても変わらない?【尹大統領 弾劾罷免】

Yoon Ousted in Korea

2025年4月7日(月)19時00分
ミッチ・シン(ディプロマット誌韓国特派員)
尹が支持者に手を振るニュース映像を見る人々

尹が支持者に手を振るニュース映像を見る人々 Kim Jae-Hwan / SOPA Images via Reuters Connect

<次の大統領選で、有力候補とされる李在明が当選すれば、韓国社会の分断はさらに深刻に>

昨年12月14日に韓国の国会が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案を可決して、4カ月近く。弾劾審判の審理を行ってきた韓国憲法裁判所は4月4日、8人の裁判官の全員一致により、尹を罷免するという決定を言い渡した。

これにより、尹は即時に失職し、60日以内に大統領選が実施されることになった。韓国の大統領が弾劾罷免されたのは、2017年の朴槿恵(パク・クネ)元大統領に続いて史上2人目。尹はこの1月、韓国の現職大統領として初めて内乱罪で起訴された人物という恥ずべき称号も得ている。


4日の憲法裁の判決は、昨年12月3日の夜に尹が「非常戒厳」を宣言し、国を自身の統制下に置こうとしたことを違法と判断した。

弾劾審判で尹の弁護団は、最大野党「共に民主党」が政府高官への弾劾訴追を繰り返すなどして「国家の非常事態」にあったと主張し、非常戒厳の布告を正当化しようとしてきた。しかし憲法裁は、当時の状況は「非常事態」の要件を満たしていないとし、尹側の主張を退けた。

憲法裁は尹が国会に軍を派遣したこと、そして主要政治家などを拘束させようとしたことも違法と判断した。尹の言い分によれば、国会に軍を投入したのは秩序維持のための措置だったとのことだが、兵士たちが窓を割って国会に乱入する様子がテレビで放映されており、この説明は説得力を欠いていた。政治家の拘束を指示していないという尹の主張も否定された。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB追加利下げは慎重に、金利「中立水準」に近づく

ビジネス

モルガンS、米株に強気予想 26年末のS&P500

ワールド

ウクライナ、仏戦闘機「ラファール」100機取得へ 

ビジネス

アマゾン、3年ぶり米ドル建て社債発行 120億ドル
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 8
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中