最新記事
石油

「掘って掘って、掘りまくれ」トランプ2.0のアメリカは石油人脈が仕切る

THE OIL INDUSTRY WISH LIST

2025年2月6日(木)14時38分
ジェフ・ヤング(環境・サステナビリティー担当)

newsweekjp20250206024809-c16c54bb3a9f92f6547fb8fb7dcf91988ec7e217.jpg

カリフォルニア州サンホアキンバレーにあるサウスベリッジ油⽥の掘削現場 HALBERGMAN/GETTY IMAGES

アメリカの石油・天然ガス生産量はバイデン前政権下で急増し、今や押しも押されもせぬ世界最大の産油国だ。それでもソマーズはトランプ政権に対し、まずは大西洋岸、太平洋岸、およびメキシコ湾岸の数億エーカーに及ぶ海域での新規掘削禁止を撤回しろと要求した。

「今こそ国有地のリースに関してエネルギー第一の姿勢を復活させ、わが国はエネルギー投資を歓迎するというシグナルを送るべきだ」とソマーズは言う。

トランプ政権にはバイデン時代の禁止命令を覆す権限があると、法廷で主張する用意もあるという。ただし多くの環境法の専門家によると、そのような動きには議会の承認が必要だ。


ソマーズは液化天然ガス(LNG)の輸出ターミナル新設についても、バイデン政権による禁止措置の解除を求めている。ウクライナ戦争でロシアからの天然ガス供給が激減したため、今は欧州諸国がアメリカ産LNGをせっせと買っている。

しかし環境派の活動家に言わせると、LNGの輸出は温室効果ガスの排出を増やし、クリーンエネルギーへの転換を遅らせるだけだ。また輸出を増やせば米国内のエネルギー価格が上昇するとの懸念もある。

ちなみにエネルギー省が昨年12月に発表したところでは、大規模なLNG輸出基地は「それだけで世界141カ国それぞれの年間排出量よりも多くの温室効果ガスを排出する」そうだ。

輸出を増やせば国内向けの供給が減って価格が上がり、電気料金が上がるとも予測している。

対してソマーズは、S&Pグローバルの新しいデータによればLNG業界は過去10年間でGDPに4000億ドル以上の貢献をし、数十万人を雇用していると反論した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、シカゴ・ロス・ポートランドから州兵撤退

ビジネス

米国株式市場=続落、25年は主要3指数2桁上昇 3

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、年間では2017年以来の大

ワールド

ゼレンスキー氏「ぜい弱な和平合意に署名せず」、新年
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中