最新記事
米経済

家計のストレスで「心身を病む」人が急増...最新調査で見えた「やりくり疲れ」のアメリカ社会

FINANCIAL FATIGUE

2024年7月25日(木)14時58分
ジュリア・カーボナロ(米政治・経済担当)

悩みを抱える男性

食料品などの生活必需品は高止まりを続け、家計にとって頭痛の種になっている NATEE MEEPIAN/ISTOCK

米経済への信頼感が低下

11月の大統領選挙を前に、経済問題は依然としてアメリカ人の懸念事項の上位を占めている。ギャラップ社の5月の調査によると、回答者の36%が現在のこの国の最重要課題として経済問題を挙げた。17%はアメリカ経済全般の状況を、12%が生活費の高騰を懸念事項と考えている。

5月に発表されたギャラップの別の調査では、今の家計にとって最重要の経済問題はインフレだと答えたアメリカ人の割合は41%で、23年の35%、22年の32%から増加している。


ギャラップの「経済信頼感指数」はアメリカ人の現在の景況感と景気の先行きについての見通しを示すものだが、同社が5月1~23日に調査したデータによると、経済への信頼感は低下している。

46%が5月のアメリカ経済を「悪い」と答え、4月の44%、3月の39%から上昇した。景気が「とても良い」「良い」と答えたのはわずか22%だった。

全米会衆派キリスト教会連合の公認クレジット・カウンセラーを務めるデービッド・アトキンスは、お金に関するストレスを回避するための3つの簡単なルールを挙げている。

1つ目は、支出をきちんと把握し、計画を立てること。出費を全て集計して、カテゴリー別(家賃、交通費、食費、娯楽費、衣服費、債務返済など)に分類した支出計画を立てる。そうすることで、各カテゴリーに必要な金額が正確に分かる。

2つ目は、日常的な出費には現金を使うこと。現金払いには、支出の抑制を促す心理的効果がある。

そして3つ目は、クレジットカードの負債をできるだけ早く返済すること。多くの場合、クレジットカードの金利は他のローンよりずっと高いので、債務残高をゼロにすることでかなりのコスト(と不安の)削減効果がある。

カード会社や貸金業者への返済に苦しんでいる場合は、毎月の返済額の減額交渉をしたり、返済計画の提示を依頼するのも手だと、マネーエキスパートのハンターは指摘する。

「そのためには、現在の返済額が支払えない理由を示す必要がある。彼らは通常、あなたの総収入、毎月の支出、必要不可欠な生活費を確認して、現実的に払える額がどれぐらいかを判断しようとする。ただし、これをやると信用格付けに影響する可能性があり、将来的に信用枠を獲得しにくくなるかもしれない」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米加州の2035年ガソリン車廃止計画、下院が環境当

ワールド

国連、資金難で大規模改革を検討 効率化へ機関統合な

ワールド

2回目の関税交渉「具体的に議論」、次回は5月中旬以

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、米国の株高とハイテク好決
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中