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家族旅行で学校を休んでも欠席にならない「たびスタ」制度の導入を

2024年5月16日(木)15時20分
舞田敏彦(教育社会学者)
家族旅行

家族旅行には好奇心や学習意欲が向上する効果もあるという Pixabay

<あまり知られていないが、公立学校の休みや始業時間には各自治体がそれなりの裁量権を持っている>

大分県の別府市が「たびスタ」の制度を実施している。家族旅行で学校を休む場合、欠席とはみなさない。スタとはスタディ(学習)のことで、旅の教育効果を期待した名称となっている。

家族旅行には「脳の発達、コミュニケーション能力が身に付く、世界観が広がる、親子の絆が深まる、好奇心や学習意欲が向上する」といった効果があるとのことだが(同市のリーフレット)、確かにその通りだ。

温泉街を擁する別府市では、宿泊業や飲食サービス業に従事する保護者の割合が高く、連休や学校の長期休業期間に働く親が少なくない。よって平日に家族旅行をしたい家庭もあるだろうと、「たびスタ」休暇が始まったわけだ。

こうした制度への需要は、休日に仕事をしている保護者の割合を見ることでも分かる。子がいる父親のうち、仕事をしたという人のパーセンテージを曜日ごとに示すと<表1>のようになる。2021年10月に実施された公的調査の結果だ。

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仕事をしている父親の割合は、平日で9割、土曜で4割、日曜では3割弱となっている。小学生の父親だと、日曜に働いているのは28%、中学生の父親だと31%だ。バイト学生ではない、子持ちの父親(多くが正社員)のデータだ。

ざっくり小中学生の3割が、日曜日に父親が働いているとみられる。最近の小中学生は920万人ほどなので、実数にすると276万人。平日にレジャーや旅行をしたいという家庭は、結構あるということだ。

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