最新記事

教育

危ない「命令口調」「小さな過干渉」の蓄積...魔の2歳児イヤイヤ期を「やる気」に転換する方法

2023年3月28日(火)18時35分
船津徹

お手伝いで自主的な「やる気」を高める

子どもの「イヤイヤ」を減らし「やる気」を伸ばす最高の方法が「お手伝い」です。2歳〜3歳の子どもにもどんどんお手伝いを頼みましょう。そして手伝ってくれたら「手伝ってくれてありがとう。助かったわ」と感謝を伝えます。これで子どもは、「自分の働きは必要だ」「自分は役に立つ人間だ」という自信とやる気を大きくすることができます。

子どもにお手伝いを頼む時は「命令口調」で動かそうとしてはいけません。ささない用事でも「頼むこと」を忘れないでください。「◯◯ちゃん、お箸をテーブルに持っていってくれると助かるわ、お願いできる?」というように丁寧に頼めば、子どもは必ず応えてくれます。

そして子どもが手伝ってくれたら、「◯◯ちゃんが手伝ってくれて本当に助かったわ。ありがとう」と、抱きしめて感謝の言葉を伝えてください。子育て上手な親は、子どもに頻繁にお手伝いを頼み、成功体験のインプットを積み上げています。人から感謝される歓びと快感をたくさん経験して育った子どもは、前向きで積極的、そして開放的な人柄に成長していきます。

お手伝いの目的は、子どもに「成功体験」を積ませることです。くれぐれも難し過ぎるお手伝いや、失敗を招くお手伝いは頼まないでください。小さい子どもは手先の力が弱く、上手にできないことも多いですから、お片付けやお掃除など、簡単なものを選びましょう。

子どもに頼んだ洗濯物のたたみ方が下手でも「手伝ってくれて助かったわ、ありがとう」と抱きしめて感謝を伝えてください。その場で親がたたみ直したり、「もう少し丁寧にやってね」などとは言わないでください。うまくできない時は、他の洗濯物を使って「こういうふうにやるといいよ」とたたみ方を教えてあげればいいのです。

上の子に子育てを手伝ってもらう

下の子が生まれたら上の子を頼りにしましょう。親のアシスタントとして育児の雑用を頼むのです。一昔前は上の子が下の子の面倒を見るのは当たり前でした。子どもの数が多く人手が足りなかったからです。でも少子化が進んだことによって、子どもの面倒は全て親が見ることが常識になってしまいました。

上の子がまだ幼くて危なっかしい場合は、親と一緒に赤ちゃんの世話を手伝ってもらいましょう。オムツやお尻ふきを持ってきてもらったり、ミルクを飲ませる手伝いをしてもらったり、沐浴を手伝ってもらったり、赤ちゃんをあやしてもらうなど、上の子を頼りにしましょう。最初は嫌がるかもしれませんが、「お願い。助けてもらえる?」と頼めば、必ず引き受けてくれます。

手元がおぼつかない子どもに手伝わせるよりも、親がやってしまった方が早いことは分かります。でもあえて上の子に協力を頼んでください。下の子が生まれると、上の子は必ず寂しい思いをします。上の子の自己肯定感を下げないためにも、親と共同で下の子の世話をすることが大切です。

そして手伝ってくれたら「ありがとう、◯◯ちゃんが手伝ってくれて本当に助かったわ」と抱き締めて、感謝を伝えます。これで「自分は必要な存在だ!」と子どもは実感でき「やる気」が回復するのです。

上の子に下の子の面倒を頼むと「仲の良いきょうだい」に成長します。下の子の面倒を見ることで、上の子は下の子をごく自然に可愛がるようになります。また下の子は上の子に面倒みてもらって成長しますから、上の子をごく自然に尊敬するようになるのです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中