最新記事

戦闘機

台湾が誇示した最新鋭戦闘機「F16V」と中国最強の「殲20」、どちらが強いか

Taiwan's Best Fighter Jet Compared to China's J-20 Mighty Dragon

2022年8月18日(木)15時31分
キャサリン・ファン

夜間の緊急飛行訓練でF16Vへ走る操縦士と空軍兵士(8月17日、台湾花蓮県の空軍基地)

<台湾は「どこも戦場、いつも訓練」を掲げ、中国の軍事演習に対抗する形で飛行演習を実施した>

台湾周辺で軍事演習を続ける中国に対抗し、台湾空軍が8月17日に飛行訓練を実施。最新鋭のジェット戦闘機F16Vを誇示した。

台湾空軍は声明を発表し、「中国軍による最近の軍事演習の脅威を受け、国家の安全を確保するために『どこも戦場、いつも訓練』の構えで警戒を続けている」と表明した。

同軍によると、8月17日の夜に米国製の6機のF16V――うち2機はミサイルを搭載――が台湾東部の花蓮県にある空軍基地で軍事演習を行った。F16V戦闘機は、ドナルド・トランプ前米政権が台湾への売却を承認し、2021年11月に台湾空軍が正式にF16V部隊を発足させていた。

中国人民解放軍(PLA)は、8月2日にナンシー・ペロシ米下院議長が、さらに14日にも米議員団が台湾を訪問したことへの対抗措置として、台湾海峡での軍事演習を繰り返している。

台湾国防部の孫立方報道官は、「我々はこの機会に、普段行っているあらゆる訓練を検証し、各種手法の改善や戦闘効率の引き上げを行っていく考えだ」と述べた。

中台「最強」戦闘機を比較

台湾は、中国がペロシの訪台を利用して、戦闘機を用いた軍事演習を正当化していると非難している。中国が保有する最も強力な戦闘機は、「マイティドラゴン」の異名を持つ「殲20」だ。中国政府は2021年6月に「殲20」150機を配備しているが、最近の軍事演習で使用したのは「スホーイSu30戦闘機」16機とその他11機の戦闘機だった。

中国が保有する最強の戦闘機「殲20」と台湾の「F16V」、性能はどちらが上か比較した。

台湾のF16Vは、時速およそ2415キロでの飛行が可能で、最高速度およそ2125キロの殲20を上回る。

F16Vの航続距離は殲20をやや上回り、台湾空軍によれば燃料補給なしで約3220キロの飛行が可能だ。一方、航空関連情報のウェブサイト「エグゼクティブ・フライヤーズ」によれば、殲20の推定航続距離は3220キロだ。

燃料の容量は、F16Vが外部燃料タンク2つ分を含め5443キロ。殲20の2万5000キロよりも大幅に少ない。

F16V戦闘機は殲20よりもやや小さく、空中での操作がしやすそうだ。F16Vは全長が14.8メートル、高さ(全高)が4.8メートル。一方、戦略国際問題研究所の「チャイナパワー・プロジェクト」によると、殲20は全長が平均20.4メートルで高さが4.45メートルだ。

またF16Vは翼幅についても9.8メートルと、殲20の約13メートルに比べて短い。

【動画】「マイティドラゴン」の異名を持つ「殲20」の動画を見る

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中