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世界経済

コロナ後の経済回復、「飛躍する国」と「沈没する国」がはっきりしてきた

THREE WARNINGS FOR EMERGING ECONOMIES

2021年6月30日(水)18時15分
カウシク・バス(コーネル大学教授)

しかも現在の状況は気掛かりだ。普通、インフレ率は景気後退期には低下する。しかし過去半世紀の5回の世界的景気後退のなかで、今回のコロナ不況はインフレ率の低下が最も穏やかだ。さらに今年5月以降は前回の景気後退後を上回るペースで上昇している。

米FRBは、最近のインフレ率上昇は巨額の資金注入による一時的なものとしている。だが確かなことは誰も分からない。先進国でインフレが続けば、新興国・途上国の中央銀行は金融引き締めを迫られるだろう。その結果、先進国への資本流入と新興国・途上国の通貨安が加速しかねない。これらは大きなリスクで、世界の貧困層に破滅的な打撃を与える恐れがある。

第3は、貿易についての懸念。これは警告というよりチャンスを暗示している。新興国・途上国の成長・進歩の加速を妨げる大きな要因の1つは高い貿易コストだが、無駄なコストもある。内訳は関税がわずか14分の1、残りは物流や輸送や煩雑な事務手続きや賄賂だ。その結果、製品の輸出価格は国内販売価格の平均2倍に達する。

新興国・途上国が大きな「コスト削減」を実現し、輸出潜在力を大幅に向上させる余地は大いにある。パンデミックの代償の多くは避け難いが、この貿易コストにメスを入れれば、少なくとも世界的な回復格差の直撃は避けられるかもしれない。

©Project Syndicate

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