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感染者急増するロシアはコロナ対中包囲網にどう対応するか──モスクワ便り

2020年5月15日(金)08時16分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

「モスクワの友人」:そもそもロシアという国や国民性が、慰謝料、補償料を求める文化に乏しいことに加えて、両国トップの関係が非常に良いという背景もあり、欧米のような動きにはなっておりません。

もちろん、中国から多額の補償を他国が獲得という事態にでもなれば、悪乗りしてくる可能性はあると思いますが、中国が欧米と対立することはロシアにとっては仲間が増える良い話なので経済的メリットよりも政治外交的なメリットを狙う国でもあるので、こちらで利用するのだろうと思います。

中露離間の計を図るならば、強い中国を叩くのではなく、経済力も弱く、本音では中国よりも米国および欧州との関係改善を図りたいロシアを取り込む方が外交的には正しいと思うのですが、チャーチルのような冷徹な外交戦略を行う人間はいないようです。

石油価格の暴落は、エネルギーを大量消費してくれる中国の存在が、否が応でも更に重要となっており国民感情のずれはあっても中国との対立を見せることは当面ないと思います。トランプはロシアとの関係強化には動く可能性はあるのですが、大統領選までは無理でしょうし、バイデンが勝ってしまうとロシアとの対立は更に強くなり、中露結束は更に強まりそうな気がしております。

なぜバイデンが勝ってしまう米露対立はさらに悪化するのか?

「モスクワの友人」の回答で、「バイデンが勝ってしまうとロシアとの対立は更に強くなり、中露結束は更に強まりそうな気がしております」というのが気になった。そこでさらに質問をした。

遠藤:なぜバイデンが勝ってしまうと米露対立はさらに悪化するとお考えですか?

「モスクワの友人」:小生の意見を以下に述べます。バイデン氏は、米露関係を悪化させたオバマ政権の下で対露、ウクライナ政策を担当しており、アンチ・ロシア、アンチ・プーチンであることは明らかです。加えて彼をバックアップする民主党は、口先、綺麗ごとだけを述べる政治家達で、この手の手合いはリアル政治、取引を好むプーチン政権やロシアの考え方と調和しません。

ヒラリー敗戦の原因をほとんどありもしないロシア疑惑に求めたり、ウクライナ疑惑でトランプを弾劾したりと、民主党関係者は、ロシアは兎に角敵で、これを大転回することはまずないだろうと思うのです。

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