最新記事

中国

感染者急増するロシアはコロナ対中包囲網にどう対応するか──モスクワ便り

2020年5月15日(金)08時16分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

歴史的にも、米露デタントが出来たのはニクソン、レーガン、ブッシュと強い共和党大統領の時代であり、酷かったのはカーター、オバマの時代で、きれい事だけを述べる政治家を軽蔑する文化がロシア人にはあるように思います。

プーチン大統領の性格抜きには、外交も語れない部分はあり、彼が好きなのは「強いマッチョかワル」、「国家指導者として清濁併せ飲むことができる人物」だと思うので、スリーピージョー(筆者注:ジョー・バイデン)では話もあまりしたくなくなるのではないかと思うのです。習近平氏は、どんな方なのか分かりませんが、強い指導者であり、単なる善人などいうことは絶対ないと思うので、二人の間でどんな会話が交わされているのか興味のあるところではあります。

インタビューは概ね以上だが、その後メールがあり「5月8日、習近平主席がプーチン大統領に対独戦勝記念日のお祝いとコロナ共同対応で電話されたようです。お互い強力な友人がいない者同士、関係は極めて良好と思います」と書いてあった。

また「ロシアの中国関係者は、かつてはやや日陰な存在でしたが、中国の台頭と、彼らを取り込む中国の巧みな工作があって今は状況が変わりました」という感想も漏らしておられた。

まるで「モスクワの友人」のコメントを証拠づけるかのように、5月13日、上海協力機構の外相会議でロシアのラブロフ外相はアメリカのコロナに関する対中攻撃を非難した。環球時報が伝えている。14日の中央テレビ局CCTVもかなりの時間を割いてラブロフの発言を大きく報道した。報道によれば米議会上院の共和党議員らが「COVID-19に関する問責法」を提出し、トランプ大統領による対中制裁を可能ならしめるように要求したようで、場合によっては国家による賠償責任を国家が求めるという流れに行く可能性も否定はできない。ラブロフはそれに対しても非難している。

こういった流れを見ると、アフターコロナの新世界秩序では、中露蜜月は崩れないという大前提で未来予測をした方が良いだろう。

安倍内閣は八方美人。「卒なく」と言えば聞こえはいいが、これでは誰からも本当には信じられないだろう。まして、習近平の国賓招聘を「延期はしたが中止はしてない」安倍首相にとって、トランプ大統領が音頭を取っている強烈な対中包囲網の中に入ることも難しいに違いない。アフターコロナの日本の動向を注視したい。

(なお、本コラムは中国問題グローバル研究所のウェブサイトからの転載である。)

Endo_Tahara_book.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』(遠藤誉・田原総一朗)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』(11月9日出版、毎日新聞出版 )『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

この筆者の記事一覧はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

為替の動向、高い緊張感を持って注視=三村財務官

ビジネス

ドル156円台に下落、三村財務官「高い緊張感持ち注

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、衆院選受け初の5万600

ビジネス

焦点:食品消費税ゼロへ本腰、「財源探し」本格化 外
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日本をどうしたいのか
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    背中を制する者が身体を制する...関節と腱を壊さない…
  • 7
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 8
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 9
    心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険…
  • 10
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中