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中国の肺炎対策は(今のところ)合格点

2020年1月20日(月)11時40分
ダニエル・ルーシー(ジョージタウン大学非常勤教授)、アニー・スパロウ(マウント・サイナイ医科大学助教)

中国政府は、今回の新型肺炎に比較的迅速に動いたことについて称賛されるべきだが、WHO(世界保健機関)も重要なサポート役を果たしてきた。WHOはホームページで連日のように最新情報を掲載するとともに、検査を受けられる場所や、臨床検査や感染防止法に関する情報、さらには旅行に関する注意情報も発信してきた。

香港も、模範的な感染症対策を取ってきた。12月31日に武漢における感染拡大が正式に発表されると、香港特別行政区の保健当局は直ちに一連の予防措置を取った。まず、医療従事者、学校、介護施設向けに手引を発信。メディアに積極的に正しい情報を提供し、武漢の状況を伝える専門ウェブサイトを立ち上げて、毎日情報を更新してきた。

1月4日、香港はこのサイトに、「公衆衛生に重要な影響を与える恐れがある新型感染症への対応準備計画 2020年版」を掲載した。これは世界的にも例を見ない極めて包括的な新型感染症の対応計画といえるだろう。

万能ワクチンが解決策

とりわけ香港当局が直ちに取り組んだのは、武漢からの来訪者で体調不良が見られる人のウイルス検査を徹底したことだ。該当者は12月31日から1月12日までに67人。その検査結果は政府のホームページで連日公表してきた。

67人のうち、問題の海鮮市場に出入りするなど何らかのつながりがあった人はゼロ。検査の結果、ほとんどは冬に多く見られるウイルス性感染症(ヒトインフルエンザや、パラインフルエンザ、アデノウイルス、ライノウイルス、RSウイルスなど)で、SARSやMERS(中東呼吸器症候群)といったコロナウイルスの陽性反応が出た人はいなかった。

この検査で使われた汎用コロナウイルス検出試薬でも、武漢肺炎を検出することはできるだろう。それでも正確な診断を下すためには、専用の新しい検査試薬キットが必要だ。今回の新型肺炎は今のところ爆発的な広がりを見せていないが、その危険性がないとも言い切れないからだ。

1月初旬に「感染疑いあり」と報じられた香港の16人についてはその後、新型肺炎の可能性なしとの判断が下され、全員が退院した。その一方で、武漢からタイを訪れた観光客2人が、新型肺炎を患っていることが確認された。ただ、この2人と海鮮市場とのつながりは分かっておらず、どこでどのように感染したのかは分かっていない。

タイでの感染例報告を受け、テドロス・アダノムWHO事務局長は、緊急事態宣言を出す必要があるかどうか「緊急委員会のメンバーに相談する。近く緊急委員会を招集する可能性もある」と発表した。

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