最新記事

小惑星探査

史上初、小惑星への着陸に成功!「はやぶさ2」から投下された2機の小型ロボットに緊張と興奮

2018年10月3日(水)15時50分
鳥嶋真也

2018年9月23日9時46分(日本時間)にミネルヴァII1のローヴァー1Bがホップ直前に撮影した画像。岩塊だらけの小惑星リュウグウの地表がはっきり写っている (C) JAXA

<「はやぶさ2」から小惑星「リュウグウ」に2機の小型ロボットが投下された。小惑星へのローヴァーの着陸成功は世界初の快挙だ>

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2018年9月22日、小惑星「リュウグウ」を探査している探査機「はやぶさ2」から分離・投下した2機の小型の移動探査ロボット「ミネルヴァII1(MINERVA-II1)」を、リュウグウに着陸させることに成功したと発表した

ミネルヴァII1はその後、写真や動画の撮影・送信にも成功。さらに写真などの解析から、リュウグウ表面を移動していることも確認できた。

小惑星へのローヴァーの着陸成功は世界初の快挙となった。そしてさらなる挑戦が待ち構えている。

2機の小型の移動探査ロボット「ミネルヴァII1」

ミネルヴァII1(ツー・ワン)は、JAXAや日本の大学、メーカーなどが開発したローヴァー(移動探査ロボット)で、「はやぶさ2」に搭載されて打ち上げられ、小惑星リュウグウまでやってきた。

ミネルヴァII1は、2機のローヴァー「ローヴァー1A」と「ローヴァー1B」からなっており、それぞれが独立して動くようになっている。ローヴァー1A、1Bともに、直径18cm、高さ7cmの正十六角柱の形をしており、質量は約1.1kgと、手で持てるほどの小ささである。両機ともほとんど同型機だが、搭載しているカメラの台数などが異なる。

ローヴァーというと、NASAが火星で運用しているような、タイヤのついた"探査車"がおなじみである。しかし、リュウグウのような小惑星は重力が小さいため、タイヤで走行することができない。

そこでミネルヴァII1は、機体の内部にモーターを内蔵し、そのモーターを回転させた際の反動で機体が飛び跳ねる(ホップする)、「ホッピング機構」を使ってリュウグウ表面を移動するという仕組みを採用している。JAXAによると、1回のホップで、空中に飛び上がってから着地するまでに最大15分間ほど滞空し、水平方向に最大15mほど移動することができるという。これにより、複数の地点を探査することができる。

さらに、各ローヴァーには自律的に動けるような機構もあり、自分自身で状況を判断しながら探査を行うこともできる。

space1003002.jpg

リュウグウ表面の探査を行うミネルヴァII1の想像図。奥がローヴァー1A、手前がローヴァー1B (C) JAXA

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、2カ

ワールド

米・ウクライナ鉱物協定「完全な経済協力」、対ロ交渉

ビジネス

トムソン・ロイター、25年ガイダンスを再確認 第1

ワールド

3日に予定の米イラン第4回核協議、来週まで延期の公
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中