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韓国政治

文在寅が2カ月経ってもまだ組閣を終えられない理由

2017年7月14日(金)20時35分
前川祐補(本誌記者)

痛し痒しの「公聴会撤廃論」

こうした状況を見かねてか、韓国世論の中には不毛な争いに終始しがちな公聴会制度の見直しを求める声もある。対象者を限定的にすべきというものだが、公聴会免除の考えは政治腐敗の是正を求める韓国世論にとって「痛し痒し」だ。

確かに、公聴会を経る必要がなくなれば、新政権はよりスムーズに閣僚人事を終えて政権運営を軌道に乗せることが出来る。野党による執拗なスキャンダル叩きも減るだろう。ただそうなると、スキャンダルにまみれた候補が不正を不問に伏されたまま大臣に就任することになり、腐敗した政治家がのさばり続けることになる。文が掲げるクリーンな政治の実現にとっても、逆風になりかねない。

一方で、公聴会を続ければスキャンダルの応酬が続き、政権の安定運営にも支障をきたす。文が最初の組閣を何とか終えても、内閣改造のたびに人事バトルが繰り広げられる懸念は残る。

まさに板挟みの状況だ。だが、そもそも閣僚候補に指名された人物に次々とスキャンダルが浮上していること自体が問題視されるべきなのだろう。

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