最新記事

THAAD

THAAD配備へ中国が「韓国叩き」 次なる標的は米国か

2017年3月8日(水)13時38分


「組織的な動き」

さらに、消費者の反発が続いた。ロッテの中国名が出てくる投稿は、通常は数千件程度だが、2日には30万件近くに跳ね上がった。

中国のソーシャルメディアに投稿された写真には、黒々とした落書きに覆われ、叩き壊された韓国車を多くの人々が取り囲んでいる様子が映っている。かつて日本の自動車メーカーを苦しめた問題が再び繰り返されているとの警告だ。この他にも、韓国ツアーの全面禁止を呼びかける投稿もオンラインで拡散されている。

中国国家観光局は3日、韓国向けの「旅行者心得」についての声明を投稿し、中国人観光客に対し、「海外旅行に伴うリスクを真剣に理解し、渡航先を慎重に選択する」よう念を押している。

中国国家観光局は渡航禁止措置についてはコメントしていない。

通常はタカ派的色彩の強い国営タブロイド紙の環球時報でさえ、韓国製品を破壊する行為が「世論主流の支持を得ることはないだろう」と警告を発している。

とはいえ、前出のギルホーム氏は、韓国に対するさまざまな抗議行動は異常なほど攻撃的であり、当局も、公式には傍観する態度に留まっているものの、実際には一定の役割を演じているという。

「これほどの動きが短期間のうちに全国規模で行なわれるからには、組織的なものであることは明らかだ。そうした発表もないし、認められることもないだろうが、これは連携した動きだ」とギルホーム氏は言う。

環球時報は昨年11月、米国がこうした組織的なキャンペーンに直面する可能性があると警告していた。万一、トランプ大統領が中国に対して貿易戦争を仕掛けることがあれば、中国政府は、ボーイング(BA.N)からアップルAPPL.Oに至る米国企業に対して報復行動に出るだろうと。

「トランプ氏が米中貿易を破壊するのであれば、米国産業の多くが損なわれるだろう」と環球時報は社説で主張していた。

(翻訳:エァクレーレン)

[上海 3日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、WTO改革で米と対話の用意 「途上国」特権見

ビジネス

米5月求人件数、37.4万件増 関税の先行き不透明

ビジネス

住宅価格の上昇に伴う金融安定リスクを注視=韓国中銀

ビジネス

FRB議長、利下げ前に一段のデータ「待つ」姿勢を再
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    未来の戦争に「アイアンマン」が参戦?両手から気流…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中