最新記事

中国共産党

中国の習近平主席、党内ライバル派閥「抑え込み」で権力確立狙う

2016年10月8日(土)18時14分


後継者選び

 来年の党大会の時点で常務委員としての定年に達していないのは、習主席(63歳)と李克強首相(61歳、共青団派)の2人だけである。情報提供者と外交筋によれば、この2人が常務委員会でナンバー1、ナンバー2の地位を維持するものと広く信じられている。

 過去の党大会での経緯に準じるならば、残りの5名が引退することはほぼ確実である。

 有力候補のうち共青団派の3人、つまり李源潮副主席(李克強首相との血縁はない)、汪洋副首相、広東省党委員会書記である胡春華氏(胡錦濤前主席との血縁はない)が党大会で常務委員に選出されれば、常務委員会において同派が過半数を占めることになるが、関係筋によれば、これは習氏にとって容認できない事態だろう。

 この3人は皆、現在、党中央政治局のメンバーである。

 関係筋は、習氏が共青団派に対してさらに何か別の攻撃を計画しているかどうかは、ただちに明らかではないと話しており、習氏がどれほど努力しようと、これら3人の候補のうち1人は常務委員に選出されると予想されているという。

 習氏は、減速した経済を浮揚させる改革を遂行し、自分の遺産をしっかりと受け継ぐ後継者を選ぶため、自分に最も忠実な者たちを登用したいと考えているという。

 習氏のグループは、同氏が省長・党委員会書記を務めていた2002─2007年に支持基盤を築いた浙江省にちなんで、「浙江閥」と呼ばれている。また習氏は、彼自身と同じように党・政府・軍の上級幹部を親に持つ、いわゆる「太子党」(または「赤い貴族」)からの支持も得ている。

 政府のトップ幹部と定期的に会っているという、指導部に近いある関係筋は、「習氏は共青団派を食い止めるためにあらゆる手を打っている。自身の息のかかった人物を常務委員に据えたがっている」と話す。

 習主席の支持者が何人常務委員会入りを果たすかという問いは時期尚早だが、関係筋や外交筋によれば、習氏に近く、すでに政治局員になっている候補者が少なくとも2人いるという。習主席の参謀役である栗戦書氏と、中央組織部部長の趙楽際氏である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米シティ、ライトハイザー元通商代表をシニアアドバイ

ビジネス

アップル、関税で今四半期9億ドルコスト増 1─3月

ビジネス

米国株式市場=上昇、ダウ・S&P8連騰 マイクロソ

ビジネス

加藤財務相、為替はベセント財務長官との間で協議 先
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中