最新記事

オピニオン

【ブリュッセル・テロ】アメリカは地上部隊投入でISISの「本国」を叩け

Brussels Blast: We Must Destroy ISIS in Its Homeland

激しい空爆にも関わらずISISが生き長らえることでイスラム過激派は勢いづき、新兵も殺到する。ラッカで滅ぼすしかない

2016年3月23日(水)16時00分
フレデリック・ホフ(大西洋協議会中東センター上級研究員)

逃げ腰? オバマは2月、「アメリカはISISに勝つ。和平協議がそのカギだ」と言っていたのだが Carlos Barria- REUTERS

 22日にベルギー・ブリュッセルの空港と地下鉄を襲った連続テロは、ISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)か、そのシンパによるものであることは、ほぼ間違いないだろう。

 ブリュッセルではそのわずか4日前、昨年11月のパリ同時多発テロの実行犯で逃走を続けていたサラ・アブデスラム容疑者が拘束されたばかり。今回のブリュッセルのテロは、リーダー格の仲間が捕まった際のプランBとして計画されていた可能性もある。

【参考記事】パリ同時多発テロを戦争へと誘導する未確認情報の不気味

 パリのテロ攻撃は、ISISが「首都」と称するシリア北東部のラッカ、つまりISISの指導部が計画したものだった。今回のブリュッセルの殺戮が、ラッカで計画されたものかどうかはまだわからない。だが、そんなことは関係ない。

 重要なのは、ブリュッセル・テロの直後、ベルギーのベテラン外交官が発したコメントだ。「今こそ、こうした犯罪を食い止め、市民の安全と社会のレジリエンス(回復力)を守るために力を合わせるべきだ」と、その外交官は言った。「攻撃にさらされているのは、我々の自由民主主義だ」

【参考記事】イスラムへの憎悪を煽るパリ週刊誌銃撃事件

 アメリカ主導の有志連合はシリアで、断続的な空爆と断続的なクルド人部隊による地上戦を組み合わせてISISと戦ってきが、ISISはそれに耐え抜いている。おかげで各地の過激派グループは勢いづき、攻撃の準備をひそかに進めている。

 アメリカの大統領が「弱体化させ最終的に破壊する」と宣言したISISの存続は、傷つき、不満を抱き、狂信化したスンニ派世界を大いに勇気づけている。イスラム教徒全体から見ればごく一部だが、それでもテロリスト予備軍は数千人に及ぶ。

 CIA(米中央情報局)のジョン・ブレナン長官はこれまでも、ISISはヨーロッパだけでなく北米でもテロ攻撃を行おうとしていると警告してきた。ラッカの「偽のカリフ(預言者の後継者)」ら一派にその準備時間を与えるのは、選択肢としてあり得ない。

シリアの和平協議を待ってはいられない

 その提案は、ここ1年ほど検討対象に挙げられてきた。アメリカ主導の有志連合による地上部隊を組織し、シリア東部に進軍してISISメンバーを殺害することだ。

 戦争及び戦後の安定化計画に同意するあらゆるシリア反体制派を糾合すれば、ISISの壊滅後、同国東部に行政機構を築くこともできるだろう。シリアでISISを壊滅させれば、難民危機は緩和され、隣国イラクで活動するISISの消滅も早まるだろう。そして、ISISのような負け犬と手を組めば破滅への片道切符を手にするだけだと、信じやすいテロ志願者たちも理解するはずだ。

【参考記事】ISIS「脱走兵増加」で新たなテロが幕を開ける?

ニュース速報

ビジネス

今後数カ月での利上げおそらく適切=イエレン米FRB

ビジネス

米第1四半期GDP改定値、0.8%増に上方修正

ワールド

EU、北朝鮮制裁強化 貿易・金融取引など

ビジネス

自動車8社、米国で1200万台追加リコール タカタ

MAGAZINE

特集:アメリカとヒロシマ

2016-5・24号(5/31発売)

オバマが現職の米大統領として初めて広島を訪れる──。被爆地に注目が集まる今だからこそ耳を傾けるべき声がある。

人気ランキング (ジャンル別)

  • 最新記事
  • コラム
  • ニュース速報
  1. 1

    「オバマ大統領27日広島訪問、原爆投下謝罪せず」ホワイトハウスが発表

    伊勢志摩サミットで来日時に現職の米大統領として…

  2. 2

    自撮りヌードでイランを挑発するキム・カーダシアン

  3. 3

    「国家崩壊」寸前、ベネズエラ国民を苦しめる社会主義の失敗

  4. 4

    サンダースが敗北を認めない民主党の異常事態

  5. 5

    歴史を反省せずに50年、習近平の文化大革命が始まった

  6. 6

    【動画】ドローンを使ったマグロの一本釣りが話題に

  7. 7

    行動経済学はマーケティングの「万能酸」になる

  8. 8

    北朝鮮がアフリカに犯罪者数百人を「輸出」疑惑

  9. 9

    全国の企業で遅れるエアコン点検義務への対応

    担当者も対象機種や具体的な実務を理解していない…

  10. 10

    荒れる米大統領選の意外な「本命」はオバマ

    共和党の醜い舌戦のおかげで人気回復のオバマがい…

  1. 1

    オバマ大統領の広島訪問が、直前まで発表できない理由

    ジョン・ケリー米国務長官は今月11日、G7外…

  2. 2

    安倍首相の真珠湾献花、ベストのタイミングはいつか?

    <オバマ米大統領の広島訪問に対応する形で、安倍…

  3. 3

    中国が文革の悪夢を葬り去れない理由

    今年で文化大革命が始まって50年だが、中国政府は…

  4. 4

    伊勢志摩サミット、日本文化の真髄として伊勢神宮の紹介を

    首相夫人の安倍昭恵氏が先月末に三重県を訪れ、…

  5. 5

    パナマ文書問題、日本の資産家は本当に税金逃れをしているのか?

    〔ここに注目〕日本の企業活動、税法の特徴…

  6. 6

    現実味を帯びてきた、大統領選「ヒラリー対トランプ」の最悪シナリオ

    共和党に2カ月遅れて、民主党もようやく今週1…

  7. 7

    出版不況でもたくましいインディーズ出版社の生き残り術

    日本と同様、出版不況に直面するアメリカの出版業界…

  8. 8

    AI時代到来「それでも仕事はなくならない」...んなわけねーだろ

    「AIやロボットが人間の仕事を奪うようになる」とい…

  9. 9

    ジャーナリズムと批評(2):絶滅危惧種としての理論家と運動

    映画化もされた小説『虚栄の篝火』や、ノンフィクシ…

  10. 10

    「ケリー広島献花」を受け止められなかったアメリカ

    今週11日、G7外相会議で広島を訪れたアメリ…

  1. 1

    米テキサス州、地震急増の原因はシェール採掘か=研究

    米テキサス大学オースティン校の地質学者クリフ…

  2. 2

    中国戦闘機2機が米機に異常接近、南シナ海上空で=米国防総省

    米国防総省は、南シナ海上空で17日、中国軍の…

  3. 3

    パリ発のエジプト航空機が消息絶つ、海に墜落か 66人搭乗

    エジプト航空の乗員・乗客66人を乗せたパリ発…

  4. 4

    行儀悪い売り方やめた、「白物家電の二の舞い」懸念=スズキ会長

    スズキの鈴木修会長は10日に開いた決算会見で…

  5. 5

    訂正:三菱自の燃費不正は経営陣の圧力 国交省、スズキには再報告要請

    会見内容などを追加しました[東京 18日 ロイ…

  6. 6

    米テスラ、株式発行などで2200億円調達へ 「モデル3」開発加速で

    米電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モータ…

  7. 7

    訂正:三菱自、相川社長が6月引責辞任 益子会長は新体制発足まで続投

    三菱自動車は18日、相川哲郎社長と中尾龍吾副…

  8. 8

    ECB追加措置の検討は秋に、必要なら新規買入可能=リトアニア中銀総裁

    リトアニア中央銀行のバシリアウスカス総裁は、…

  9. 9

    インタビュー:トランプ氏、核阻止へ金正恩氏との会談に前向き

    米大統領選で共和党候補指名を確実にしたドナル…

  10. 10

    焦点:南シナ海仲裁裁判に台湾が横やり、裁定遅延の恐れも

    台湾の当局に近い団体が、南シナ海の領有権をめ…

Newsweek特別試写会2016初夏「疑惑のチャンピオン」
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

0歳からの教育 育児編

絶賛発売中!

コラム

辣椒(ラージャオ、王立銘)

中国が文革の悪夢を葬り去れない理由

パックン(パトリック・ハーラン)

破壊王! トランプの「政治テロ」が促すア

STORIES ARCHIVE

  • 2016年5月
  • 2016年4月
  • 2016年3月
  • 2016年2月
  • 2016年1月
  • 2015年12月