最新記事

アメリカ社会

NYの見えない闇、若年ホームレス

4人に1人が寝場所を得るため性を売るほど深刻な若年ホームレス問題

2015年11月9日(月)15時39分
ビクトリア・ベキエンピス

さらなる試練 虐待の末家を出たような若者の行き場がない Lucas Jackson-REUTERS

 ニューヨークではホームレス危機がビル・デブラシオ市長の支持率の足を引っ張るほど大きな問題になっている。ホームレスのなかでもあまり認知されず、最も厳しい環境に置かれているのが若年層のホームレス。保護制度の改善を求める訴訟も起こされている。

 最近発表されたいくつかのリポートが、若いホームレスが直面する危機に光を当てた。1つの研究では、調査した若者の25%が寝場所を提供してもらうために性行為を行っている。LGBT(性的少数者)の若者は「生存のためのセックス」に迫られる確率がそうでない若者の7倍も高いという。また都市研究所によれば、調査対象の若者の71%が警官と何らかのトラブルを起こしている。ほとんどは、尋問やボディーチェック絡みだ。

 市を訴えた原告団は、ニューヨーク市のすべての若年ホームレスと家出人は、シェルターを与えられる権利があると主張している。また、大人や家族連れのホームレスは半永久的にシェルターに住むことができるのに、若いホームレスは最長90日しか滞在できない不公平の是正も求める。

 原告団の一員であるNPO法人リーガル・エイド・ソサエティーの弁護士ベス・ホフマイスターとキンバリー・フォルテに話を聞いた。

──若年ホームレスの何が問題?

(フォルテ)ニューヨーク州には、「家出人と若年ホームレス法」という法律があり、すべての家出人と若年ホームレスはシェルターで保護されなければならないと定めている。だがニューヨーク市では、シェルターに入れない若年ホームレス危機が秘かに進行中だ。

 16歳~21歳の若年ホームレスは、空きベッドがないからとシェルターから追い返されている。あるシェルターでは、緊急用ベッドが約120しかない。緊急用ベッドは、最長60日泊まれるベッドのことだ。

──憲法にも違反している?

(フォルテ)仮に若年ホームレスがシェルターに入れたとしても、30日か60日で追い出されてしまう。結局彼らはシェルターを出たり入ったりの繰り返しで、教育など必要なサービスも受けられない。

 大人なら半永久的に滞在することができるのに、若者は短期間で出なければならないというのも、不公平で憲法違反だ。

──成人のホームレスと若年ホームレスの違いは?

(ホフマイスター)大人や家族連れのホームレスは、立ち退きで家を失った人がほとんどだ。だが若年ホームレスは、家を保護者に追い出されてきたケースが多い。長年の虐待やネグレクトの末に家出する場合もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

UAE、対イラン軍事行動で領空使用許可せず 中立性

ワールド

米・ロ・ウの三者協議、軍事・政治問題巡り議論=ゼレ

ビジネス

USAレアアース株、一時26%上昇 米政府の16億

ワールド

イスラエル軍、ガザ最後の人質の遺体を収容
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 10
    外国人が増えて治安は悪化したのか
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中