最新記事

中国経済

西アフリカのエボラ支援で中国がはじくソロバン

2014年10月15日(水)15時00分
キャスリーン・コルダーウッド

新たな投資への影響も

 感染拡大には終息の兆しが見えず、西アフリカ諸国は経済的に著しい打撃を受けている。それは中国の経済的損失にもつながる。

 例えば中国はリベリアに対し、01〜11年に2億9400万ドル以上の支援をし、12年には重慶対外建設公司が全長約180キロの道路建設の契約を勝ち取った。

 50年代に中国といち早く二国間貿易協定を結んだギニアのケルタ水力発電プロジェクトでは、中国水利電力対外公司が4億4600万ドルの事業を請け負っている。

 71年に中国と貿易協定を結んだシエラレオネは、11年には南アフリカを抜いて中国が最大の貿易相手国となり、大規模な鉱山開発投資のおかげで今年の貿易額は約20億ドルに達する見込みだ。

 山東鉄鋼公司が20%の株式を保有するシエラレオネ最大の鉄鉱石生産業者、アフリカン・ミネラルズの先月半ばの声明によると、今年上半期は繁忙だったが、「ここ数週間は鉄鉱石の価格暴落とエボラ出血熱に対する不安の高まりから、最悪の事態に陥っている」。

 アフリカ最大の経済で、01〜11年に中国から470億ドルを超える支援を受けているナイジェリアの中国商工会議所の副会頭は先月、エボラ出血熱が中国からの新たな投資の可能性に影を落としていると懸念を示した。
西アフリカの危機が中国にとって人ごとでないことだけは確かだ。

[2014年9月16日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英CPI、5月は+3.5%で予想と一致 食料品が1

ビジネス

午後3時のドルは145円付近で売買交錯、中東情勢に

ビジネス

トヨタ会長の報酬19億円超、歴代最高を更新 前年か

ビジネス

米関税、韓国の国内物価に下押し圧力も 中銀が指摘
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 7
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 8
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 9
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 10
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中