最新記事

インタビュー

スー・チーが語るビルマ改革の本気度

ビルマ民主化の闘士アウン・サン・スー・チーが語ったテイン・セイン大統領の可能性と改革の課題

2012年2月27日(月)15時38分

民主化への道 「あらゆることを一度に実現することはできない」と語るアウン・サン・スー・チー Soe Zeya Tun-Reuters

 ビルマ(ミャンマー)の民主化指導者アウン・サン・スー・チーが先ごろ、4月1日に行われる連邦議会下院補選への立候補を届け出た。一昨年秋にスー・チーが7年にわたる自宅軟禁を解除された後、ビルマではテイン・セイン大統領による改革の動きが進んでいる。現政権の改革の本気度や、自身が大統領になる可能性について、元本誌記者のラリー・ウェーマスが聞いた。

*  *  *  *  *
 

――アメリカではテイン・セイン大統領の改革が本物かどうか疑問視する声がある。

 私は大統領が本心から改革を求めていると信じている。ただ軍部が大きな権力を持つことを認める現行憲法の下では、大統領は国のトップであっても、最高権力者であるとは限らない。

 政権内部にも大統領を支持する勢力はいる。だが、それがすべてかどうかは分からない。

――アメリカは経済制裁を解除するべきか。

 アメリカは明確に条件を示しており、ビルマ政府が制裁解除を求めるならその条件を満たす必要がある。その1つが政治犯釈放だ。先日、大統領は一部を解放したが、まだすべてではない。

――米政府はそれ以外にも......

(少数民族との)武力衝突が続く地域への人道援助を認めるよう求めている。いま最も深刻なのは(北部の)カチン州で新たに起きている衝突だ。少数民族の武装勢力と政府軍は停戦に合意したが、政治的交渉はまだ始まっていない。

――少数民族と政府の和解を仲介できると思うか。

 双方が望めば。少数民族側は私にその役割を求めている。

――大統領とインタビューしたとき、あなたの入閣を考えているかと聞いたら、彼はそれは議会次第だと答えた。

 そのとおり。もしわれわれ国民民主連盟(NLD)の候補者が、連邦議会の補欠選挙ですべて勝利して48議席確保したとしても、600議席以上ある上下院の中ではわずかにすぎない。あらゆることを一度に実現することはできない。議会の中で徐々にわれわれの活動を広げていく。

――ビルマは北朝鮮の協力で核兵器を開発しているという指摘がある。

 その件は私にはよく分からない。北朝鮮と国交を回復したということだけは確かだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億

ワールド

ロ凍結資金30億ユーロ、投資家に分配計画 ユーロク

ワールド

NATO事務総長、国防費拡大に新提案 トランプ氏要

ワールド

ウクライナ議会、8日に鉱物資源協定批准の採決と議員
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    金を爆買いする中国のアメリカ離れ
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中