最新記事

インターネット

ウィキペディアと米議会の仁義なき戦い

海賊行為防止法に反対するウィキペディアなどのサイトは、自らの利害のために事実をねじ曲げているとの批判も

2012年1月19日(木)15時15分
マリヤ・カリムジー

サービス停止 ウィキペディアが使えなくなってみるとどれだけ依存していたかがわかる Wikipediaより

 オンライン百科事典ウィキペディアが18日、現在米議会で議論されているオンライン海賊行為防止法(SОPA)に抗議するためにサービスを一時中断した。同様に何千ものサイトがサービスを一時的に中止している。

 ブログソフトのWordPress、ソーシャルニュースサイトのReddit、ブラウザFirefoxを開発するモジラ財団、ツイッター関連サービスを提供するTwitpicも、SOPAと上院で議論されている同様の法案、知的財産保護法(PIPA)への関心を高める目的でサイトを封鎖した。

 英BBCによれば、全米映画協会(MPAA)はサイトの中断を「無責任」で「ばかげた行為」だと主張している。

 しかし米CBSニュースによれば、サイトを中断するサイトやネット企業は、SOPAとPIPAの規制に従えば、新興企業が違反行為への対策にかかる費用をねん出できないだろうと考えている。

「この法案の立案者はインターネットがどう機能しているのか本当に理解しているようには思えない」と、WordPressの共同設立者であるマット・マレンウェッグはBBCに語っている。

 MPAAのCEOで会長のクリス・ドッド元上院議員は、サービス中断は「巧妙な戦略」であるとの声明を発表した。

「情報への入口の役割をするプラットフォームが、企業の利害を推進するためにユーザーを煽り立てようと事実を意図的にねじ曲げることは、危険で厄介な動きだ」とドッドは言う。

 米政府は先週末に法案の修正を望む意向を発表し、両法案の立案者たちは問題ある記述のほとんどを排除することに決めた。上院では24日に投票が行われる。

一部の大学生は、ウィキペディアがないと大学の課題ができないと早くも音を上げている。


GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道

ワールド

英4月製造業PMI改定値は45.4、米関税懸念で輸

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中