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新型コロナ:ワクチン接種と公平性のジレンマ

Vaccine: How Will You Know It’s Your Turn

2020年12月16日(水)11時35分
ジェーン・C・フー

州当局の判断で公平性が損なわれる可能性はほかにもある。郡や市にどれだけのワクチンを割り振るかは州政府の裁量だ。その段階で供給量の偏りが生じれば、州内で郡境を越えて接種を望む人たちも出てくるだろうと、ジョンズ・ホプキンズ大学医療安全センターのアメシュ・アダルジャは警告する。

ワクチン接種の優先順位は州政府が決めるとしても、問題は住民のうち誰が、どのグループに該当するかを個別に判定するプロセスだ。CDCの規定では、医療機関などはワクチン接種に先立ち、ACIPの提言に従うという同意書を提出しなければならない。提言には接種の優先順位に関する指針も含まれているが、誰がどの順位に該当するかを現場で判別することが本当に可能なのか。現実問題としてはかなり難しい。

もちろん、かかりつけ医がいて、そこでワクチン接種を受けるのなら問題はない。かかりつけ医は患者の病歴も健康状態も把握している。

薬局はどうか。ワクチン接種の希望者に対する過去の投薬履歴を調べれば、それなりの判断はできるだろう。しかし、それには希望者が過去に全ての処方薬を当該薬局で購入し、その正確な投薬記録が残っていることが前提となる。あいにく、そんな人はめったにいない。

結局は裕福な白人が有利

きちんとしたかかりつけ医がいて、その医者に相談すること。それ以外に特定の人の病歴を正確に把握する手段はないと、デューク大学のケイティ・グリーンは言う。医療保険会社も、個人の病歴を正確に把握してはいない。「患者に病歴を自己申告させ、それに署名させるのが精いっぱい」だと彼女は言う。

アダルジャによれば、過去の感染症の際も状況は似たようなものだった。

2009年秋に新型インフルエンザ(H1N1型)のワクチンができたとき、ACIPは今回同様、医療従事者や基礎疾患のある人への優先的接種を提言した。そして現場では、希望者の自己申告で基礎疾患の有無を判断することにした。当時はそれで済んだが今回は厳しいとアダルジャは言う。接種希望者の数が桁違いに多いからだ。

医療機関や州政府が、個別にワクチン接種の順番を通知する方法もあり得る。だが現状で、PCR検査を受けられる場所についても通知がなく個人で調べていることを考えると、結局はいつどこで接種を受けられるかも、住民が自分で調べなければならなくなる可能性が高い。

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