「できないことはみんなで」 丸紅ケミックス×34社が廃棄物から新素材をつくる理由
以降、会見を契機に得られた案件に参加企業と取り組み、技術開発を進めており、現在は34社が賛同し、業界を超えて多様な技術と視点が結集している。
競合も仲間に──34社でつくる循環の解
コンソーシアム「Do What We Can」における、協力の精神を象徴する出来事として、ある大手企業への提案時、役員クラスから「できないことは他のコンソーシアムメンバーに任せられる。競合関係を語っている時間はない」との発言があった。
この言葉が参加の決め手となり、競争を超えた共創の価値を裏づけた。
本プロジェクトを統括する責任者の冨士本健二氏(スペシャリティケミカル第一本部 部長代理)は「各社の得意技術を持ち寄ることで単独では解決できない課題に臨める。成功事例を創出し、持続可能な素材を市場で普及させたい」と語る。
現時点の課題は二点である。第一に、設立間もないため成功事例の創出がこれからの重要課題となっていること。第二に、情報発信の場が自社ホームページ中心で限定的であることだ。
これらを踏まえ、同社は2025年末までに複数の成功事例の創出を目標に掲げ、2026年には案件の拡大と専用の情報発信プラットフォーム構築を計画する。
生産から廃棄までを見据える実用志向のもと、化学・素材・製造・廃棄処理の知見を束ね、複雑な環境課題に包括的に応える基盤づくりを進める。
競合までも巻き込むプラットフォーム「Do What We Can」は、「捨てる」を「混ぜる」へと転換する取り組みで、循環と削減を同時に進める現実解を提示する。
ものづくりと連携の力が社会課題を動かすことを証明する、SDGs時代における新しい協働モデルとして、産業界に大きな一石を投じている。
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