最新記事
SDGsパートナー

投融資で脱炭素社会を実現するために...日本生命が推進する「トランジション・ファイナンス」とは?

2024年12月6日(金)10時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
日本生命の責任投融資

責任投融資の全体像

<持続可能な社会の実現に向け、日本生命は「トランジション・ファイナンス実践要領」を策定。企業の脱炭素化を資金面で支援する仕組みを整えた>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

地球温暖化から「地球沸騰化」とも言われるまでに事態が進行し、脱炭素社会の実現が強く求められる中、現行の社会システムから段階的に移行(トランジション)していくことが、世界的な課題となっている。

「トランジション」は金融においても必要だ。脱炭素への取り組みを加速させるには、そこに資金が供給されるようにしなければならない。しかし、トランジションの定義は定まっておらず、企業は自身のトランジション適格性をどのように示すべきか、そして投資家はそれをどう判断すべきか、不明確なままだった。

こうした課題に対し、トランジション・ファイナンス市場を健全に拡大していくために、日本生命保険相互会社が2024年6月に公表したのが「日本生命トランジション・ファイナンス実践要領」だ。

企業の脱炭素計画を評価し、投融資を促す

トランジション・ファイナンスは、既にグリーンな企業(温室効果ガスの排出量がゼロ、あるいは少ない企業)に資金提供するグリーン・ファイナンスとは異なり、電力・鉄鋼など現在は温室効果ガス排出量が多いものの脱炭素化に取り組んでいる企業の「移行」を支援することを目的とした資金供給の手法だ。

「日本生命トランジション・ファイナンス実践要領」においては、企業全体の温室効果ガス削減計画が、パリ協定の「1.5℃目標(※)」に対して、科学的に整合するかどうかを重視する。技術単体の可否ではなく、企業の長期計画・戦略性を評価することがポイントだ。

パリ協定の目標を達成するために、各企業は何をすべきなのか。日本生命は、IEA(国際エネルギー機関)などの国際機関が示すシナリオ等を基に、定量的なパリ協定と整合する経路(閾値)である「Parisパスウェイ」を設定している。

newsweekjp20241126055336-16ca8ef970c5070a22cb3dc9e72e7040907fb49a.jpg

Parisパスウェイ

この「Parisパスウェイ」と、企業が提示する短期・中期・長期の温室効果ガス削減目標が整合的であるかどうかが、「日本生命トランジション・ファイナンス実践要領」の評価ポイントだ。

将来は不確実なのだから、投融資の償還期限に至るまで、進捗モニタリングと対話は欠かせない。脱炭素の取り組み以外で、自然環境や労働環境を損なわないことも、評価の観点となる。

※2016年に発効したパリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より十分低く保ち、1.5度以内に抑える努力をする」という目標が掲げられた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インドとカナダ、関係改善へ新ロードマップで合意

ワールド

仏、来年予算300億ユーロ超削減へ 財政赤字対GD

ビジネス

PayPayが12月にも米でIPO、時価総額3兆円

ビジネス

英議員、中ロなどのスパイの標的 英情報機関が警告
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 10
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中