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「慢性的な孤独感」は死亡率を26%高める...ブッダが健康で幸福な人生へ「縁を大切にせよ」と説いた理由

2025年5月29日(木)10時05分
大愚 元勝 (佛心宗大叢山福厳寺住職、(株)慈光グループ代表)*PRESIDENT Onlineからの転載
慢性的な孤独感は死亡率を26%高める...ブッダが健康で幸福な人生へ「縁を大切にせよ」と説いた理由

AFZAL KHAN MAHEEN -shutterstock-

<「大人の孤独」は死を早める...友達がひとり、ひとりと減っていく人に伝えたい「ブッダの人生の教え」。「慈・悲・喜・捨」を育てることが幸福につながる>

人間関係は人生にどのように影響するのか。福厳寺住職でYouTuberの大愚元勝さんは「一人で生きることは必ずしも悪いことではないが、長引く孤独によって心身の健康に悪影響を及ぼしたり、後悔や悲観に暮れる末路をたどる可能性がある」という──。


友人が減っていくのは自然の流れ

人生は移ろいゆくものであり、私たちの人間関係もまた、年齢やライフステージによって変化してゆく。

生まれてしばらくの間、私たちの人間関係は親や祖父母、兄弟に限られる。それが幼稚園や保育園に入ると、親から離れて家族以外の人を頼り、兄弟以外の仲間と戯れる喜びを知るようになる。

さらに中学、高校、大学と、学生期にはステージが変化する度に新しい友人との出会いがあり、共通の趣味や活動、バイトなどを通じて、多方面に関係が広がってゆく。

それが社会人になると、仕事に追われ、かつての友人たちとの関係が希薄になる。新しい出会いがあっても、学生期のような時間はない。さらに家庭を持つと、家族と過ごす時間が中心となり、子育てにも追われて、新たな友人を作る機会も限られてくる。

人間関係もやはり「無常」である

やがて子どもが独立し、定年を迎えて仕事を離れ、活動や行動の範囲も狭まってくると、家族以外の人間関係がどんどん薄まってゆく。人によっては、家族との関係すら希薄になる。

さらに老い、病み、配偶者を失ったりすれば、強烈な孤独感に苛まれるようになる。

仏教では、このような人生変化を「無常」と呼ぶ。無常とは「あらゆる事象は変化し続ける」という、ブッダの教えたこの世の真理であり、人間関係にも当てはまる。

「生→老→病→死」と人生のステージが、死に近づけば近づくほど、友人が減少することや孤独を感じることは避けられない現象である。だからこそ、それを受け入れる心を育むことが大切なのだ。

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