最新記事
コミュニケーション

女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」

Lessons Over Lunch

2025年4月19日(土)17時31分
ペイトン・H・ロバーツ(コミュニケーション専門家)
若い女性が高齢の男性から学んだこと

SHIORI/GETTY IMAGES

<筆者が20代前半の頃に同僚として働いていた90歳の男性から学んだのは、老年期がいかに実り多く、やりがいに満ちたものになり得るかだった>

「大人は1度、子供は2度」という英語の表現がある。人は子供から大人に成長した後、また子供に戻るという意味だ。初めて耳にしたのがいつだったか思い出せないが、その意味が心に深く響き始めたときのことはよく覚えている。

あれはカリフォルニア州サンディエゴのNPOで働いていた20代前半の頃。90歳のボランティア、ヒューが毎週の活動時間を数時間増やしたいと言い出した。それまでの毎週金曜日に2時間ではなく、週5日フルタイムで40時間働くというのだ。


ヒューと数年間一緒に働き、フラストレーションに耐えてきた開発・コミュニケーション部門の多忙な若いスタッフは当惑した。私もそうだった。

年度内に数百万ドルの資金調達目標を達成するために時間に追われていた私たちにとって、ボランティアの要望に応えることは優先順位の高い仕事ではなかった。

それでも私たちは、思いやりの気持ちを持たなければ、と感じていた。アルツハイマー病の妻を専門施設に入所させたヒューのつらさを知っていたからだ。私たちは彼にチャンスを与えることにしたが、いずれにせよ選択の余地はなかった。彼は有無を言わさずオフィスにやって来た。

ヒューにやりがいのある仕事を見つけるのは苦労の連続だった。現役時代は弁護士だったヒューは、専門知識を生かして信託財産や寄付された遺産の管理を助けてくれた。

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アフガン北部でM6.3の地震、20人死亡・数百人負

ワールド

米国防長官が板門店訪問、米韓同盟の強さ象徴と韓国国

ビジネス

仏製造業PMI、10月改定48.8 需要低迷続く

ビジネス

英製造業PMI、10月49.7に改善 ジャガー生産
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中