最新記事

Z世代

Z世代のセレブ好きが12倍という調査結果──「人間関係は双方向」の欠如

Fixated on Celebrities

2022年11月24日(木)14時58分
シャノン・パワー
若者, SNS, セレブ

ソーシャルメディアの向こう側のセレブを友人や知人のように感じている ALESSANDRO BIASCIOLI/ISTOCK

<大好きなセレブがいる18~24歳の若者の割合は親世代の12倍に上るという。なぜZ世代は親世代よりもセレブにのめり込むのか? そこには「他人の人生」と孤独が......>

Z世代の若者たちは、どういうわけかセレブやインフルエンサーが大好きらしい──親世代など年長世代の中には、そんな印象を持っている人も多いのではないだろうか。

その印象は正しい。脳と心、メンタルヘルスを研究する非営利団体「セーピエン研究所」の最近の調査によると、18~24歳の若者は親世代に比べて、大好きなセレブがいる人の割合が12倍に上るという。

Z世代は、年長世代が若者だった頃とは比較にならないくらいセレブの情報に触れる機会が多いため、セレブに夢中になりやすいのだろう。

「ファンクラブに入会して、会報誌が年に数回届くのを待っていた時代は、それ以外の情報が手に入る機会がほとんどなかった」と、英ダービー大学のルース・シムズ上級講師(社会心理学)は言う。

現代は、ソーシャルメディアなどでセレブの情報が流れてきたり、オンライン上でセレブとファンがやりとりしたりする機会が大幅に増加した。朝食のメニューに始まり、寝室の内装に至るまで、「セレブの生活の細部を知ることが簡単になった」のだ。

セレブたちが「自分についての情報をファンに与えれば与えるほど、ファンはもっと知りたいと感じるらしい」と、シムズは指摘する。

この点では、セーピエン研究所の創設者兼チーフサイエンティストであるタラ・シアガラジャンも同じ意見だ。

「年長世代は、人と人が直接対面して交流するのが当たり前の環境で育ち、セレブに関する情報は紙媒体で時々手に入るだけだった」と、シアガラジャンは言う。そのため、そうした世代の多くは、リアルの人間関係とバーチャルな人間関係とを区別できる。

親はどう振る舞うべき?

それに対し、今の18~24歳の世代は、「対面による強力な人間関係を欠いている一方で、ソーシャルメディアでセレブの情報がひっきりなしに流れてくるため、(セレブに)過度にのめり込みやすいのかもしれない」と、シアガラジャンは指摘する。

ただし、シムズによれば、わが子がセレブに夢中になりすぎていると感じても、親は子供を問い詰めたり、叱ったりするべきではない。「少し批判的思考を促すくらいでいい」というのだ。

具体的には、セレブが発信している情報はその人の人生の全てではなく、本人が発信したいと思っている要素にすぎないこと、実はセレブが報酬を受け取って商品を紹介している場合があることなどを子供に話せばいいだろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

FRB現行策で物価目標達成可能、労働市場が主要懸念

ワールド

トルコ大統領、プーチン氏に限定停戦案示唆 エネ施設

ワールド

EU、来年7月から少額小包に関税3ユーロ賦課 中国

ビジネス

米クリーブランド連銀総裁、「引き締め的な政策」望む
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中