【イベント】国税庁が浅草で「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベントを開催。インバウンド客も魅了し、試飲体験も盛況!
試飲体験での様子。来場者は説明員の話を興味深く聞き入っていた
<「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録から1年。浅草文化観光センターで記念イベントが開かれ、シンポジウムと体験を組み合わせたプログラムで、日本産酒類の魅力を体感する場となった>
海外からのインバウンド客も引き付けるイベントが、東京・浅草で開かれた。
12月6日に浅草文化観光センターで開催されたのは、「『伝統的酒造り』ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベント」。国税庁が主催(共催:文化庁、協力:日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会)し、シンポジウムに加えて試飲体験や桝づくりワークショップ、パネル展示など多彩なプログラムを展開した。

「伝統的酒造り」とは、杜氏(とうじ)や蔵人(くらびと)等が、こうじ菌を用い、日本各地の気候風土に合わせて、長年の経験で築き上げてきた酒造り技術であり、原型は500年以上前に確立したといわれ、2024年12月5日(日本時間)にユネスコ無形文化遺産に登録された。
登録から1年が経過した今回のイベントには、浅草という立地もあって海外からのインバウンド客も多く参加。会場では試飲やワークショップを通じて、酒造りの背景や味わいを確かめる姿が見られた。
「伝統的酒造り」を次代へどう手渡すか?

「古から、未来へ、この技を、つないでいく。」と題したシンポジウムでは、ユネスコ登録を機に「伝統的酒造り」を次代へどう手渡すかが議論の中心となった。
冒頭、国税庁 酒類業振興・輸出促進室長の三上悦幸氏が主催者挨拶に立ち、続いて文化庁 参事官(生活文化連携担当)の中島勇人氏が共催者として挨拶。基調講演では、保存会会長の小西新右衛門氏が「『伝統的酒造り』の守りと攻め」をテーマに語った。


続くトークセッション「『伝統的酒造り』を未来へつないでいくために」では、日本酒造組合中央会 理事の宇都宮仁氏がファシリテーターを務め、相良酒造 代表取締役・杜氏の相良沙奈恵氏、浦里酒造店 杜氏の浦里知可良氏、湯川酒造店 代表取締役の湯川尚子氏が登壇。
酒蔵を「地域のインフラ」と捉え、継承を「技術」だけでなく「人」「地域」「次の担い手」へどう手渡すか、率直な言葉が交わされた。

トークセッション「世界における日本の『伝統的酒造り』その魅力と可能性」では、「アル・ケッチァーノ」オーナーシェフの奥田政行氏、Spirits & Sharing Inc. 代表取締役の南雲主于三氏、日本酒スペシャリストWSET・日本酒コンサルタントの菊谷なつき氏がパネリストとして登壇。
ゲストの橘ケンチ氏(EXILE/EXILE THE SECOND)も加わり、食、バー、海外普及、エンターテインメントといった多様な視点から、伝統的酒造りの「伝え方」が掘り下げられた。
会場には海外からの参加者の姿もあり、「世界で活躍する日本酒のプロフェッショナルの話を間近で聞くことができてうれしい」「友人にも今日聞いた話を伝えたい」といった声が聞かれた。


試飲・桝づくり・展示で体感する、日本産酒類と伝統的酒造り
イベント後半は体験プログラムが中心となった。
8階では、日本酒・焼酎・泡盛からおまかせ2種を飲み比べできる試飲体験を実施し、約150名が参加。1日を通して全10銘柄(日本酒8、焼酎1、泡盛1)が提供され、銘柄に合わせたフードペアリングも用意された。
来場者の国籍を問わず多くの人が集まり、「造りの違いで味わいが全く異なる」「ペアリングで風味をより感じた」といった声が聞かれた。
7階では、オリジナル桝づくりワークショップと入場自由のパネル展示を開催。ワークショップには45名が参加し、スタンプやステッカーで木桝の小物入れを制作した
また、展示では「伝統的酒造り」や日本産酒類、GI(地理的表示)に加え、酒蔵ツーリズムのパネルフォトスポットなども。パネル展示は12月4日(13時)〜12月10日(18時)を通じて行われ、浅草を訪れた人々が気軽に立ち寄れる導線となっていた。



立場も役割も異なる登壇者がそれぞれの言葉で「『伝統的酒造り』への思い」「どう未来につなぐか」を語り、来場者は試飲や体験を通じて「味」と「背景」を自分の五感で確かめた。
シンポジウムでの深い議論と、ワークショップや試飲を通じた多角的なアプローチ。これらが一体となった本イベントは、浅草という様々な文化が交差する開かれた地から、「伝統的酒造り」を未来へつないでいくことを「自分ごと」として広げていく確かな一歩となった。
●参考(関連サイト)
「伝統的酒造り」特集ページはこちら|国税庁
「伝統的酒造り」に関するイベント等の情報はこちら|国税庁
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