日本の小説が厳しい現実を生きる韓国の若者を癒す...人気なのはピュアな恋愛小説と太宰治?
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『人間失格』がロングセラー
日本の近現代文学を代表する太宰治の『人間失格』は04年の出版以来、今も韓国人に絶えず愛されているロングセラー中のロングセラーだ。特に21年頃から人気に再び火が付き、大型書店のベストセラー上位にランクインし続けている。

『人間失格』の韓国語版を初めて出版した民音社の関係者は、同書の根強い人気の理由を次のように推測する。「古い作品が再び人気を集めるには何かきっかけがあるはずだが、『人間失格』は全くそのようなことがなかった。発表から70年が経過した今でも、現実の壁にぶち当たって挫折する不安定な若者たちに共感を呼び起こし、読まれ続けているのではないか」
同作は、主人公の大庭葉蔵が人間関係に悩み、道化を演じて苦悩しながら生きる姿を描く。大型書店チェーンである教保文庫の書評欄には「不安定な人間の話がむしろ私の人生を安定化させた」「自身のアイデンティティーを失った現代社会の多くの葉蔵たちを慰めてくれる」とのコメントが並び、若者から絶対的な共感を寄せられているようだ。
無限競争と両極化という厳しい現実の前で疲弊し、挫折したくなる韓国の若者たちにとって、多様なジャンルの日本小説は、面白さとともに時代を生き抜くための力と癒やしを伝える「ヒーリングコンテンツ」なのだ。






