最新記事
日本企業

変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本のスタートアップ支援に乗り出した理由

2026年1月20日(火)08時00分
※JBIC Todayより転載

信頼とエネルギーがカギ。世界で勝ち切る投資を目指す

投資は件数ではなく中身。成功案件を積み上げてこそ意味がある、と内田は語る。「目利き力」を磨く上で、腹を割って信頼関係を築ける相手かを見極める姿勢を重視する。

「経営者・ファウンダーに会う際は、『信頼』と『エネルギー』の有無を確認します。誠実に経営に向き合っていることはもちろんですが、どれだけの熱量で、どんな視野で、どう人と組織を動かすか。技術力はもちろん、PMF(プロダクトマーケットフィット)や価格設計、量産・品質、チームビルディングなど、経営の現実を乗り越える力を見ています」

ゼロから形にしていく達成感は大きい。その一方で、関係者との合意形成、現地との信頼構築、行内の意思決定を同時並行で進めるには、相当なエネルギーを要する。それでも、前例のない挑戦の連続の中で、確かな手応えを感じている。

NordicNinjaは19年の1号ファンド以来、23年に2号ファンドを設立、ff Red & Whiteも同年に始動。複数案件でのエグジット(IPOやM&Aによる投資資金の回収)も視野に入ってきている。

「NordicNinjaの知名度が欧州で上がるにつれ、日本企業からの照会も増えています。投資先の質が評判を呼び、良質な案件や情報がさらに集まる好循環が生まれている。日欧の両面でシナジーを最大化していければと考えています」

内田が期待を寄せるのは、次代を担う若手人材だ。長期的な投資活動を見据え、スタートアップ投資チームには20代、30代の職員を含めた構成としている。士気も高く、挑戦の機運が広がる。

JBICの長い歩みにおいて、スタートアップ投資の挑戦はまだ始まったばかりだ。

「ユニコーンを本気で生み出す投資を、愚直に積み上げていくこと。市場から評価されるように、勝てる芽に資源を集中し、世界で勝てるスタートアップ企業を育成していきたい」と、内田は前を見据える。

日本発のオープンイノベーションが、より広く世界で価値を発揮できるよう、支援を続けていく。


newsweekjp20260109084805.jpgJBIC 常務取締役
内田 誠(うちだ・まこと)

民間の金融機関勤務を経て、2002年に入行。経営企画部長、インフラ・環境ファイナンス部門長、エクイティファイナンス部門長などを歴任し、24年6月から現職。スタートアップ投資委員会委員長、JBIC IG Partners(JBIC IG)取締役。早稲田大学政治経済学部卒業

※当記事は「JBIC Today」からの転載記事です。
「JBIC Today」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ダボス会議でグリーンランド取得を協議へ

ワールド

豪州の大手年金基金、米ドルのエクスポージャー縮小 

ワールド

トランプ氏、プーチン大統領を「平和評議会」に招待

ワールド

ミャンマー総選挙、ASEANは認定せず=マレーシア
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生物」が侵入、恐怖映像と「意外な対処法」がSNSで話題に
  • 2
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危険生物」を手渡された男性、「恐怖の動画」にSNS震撼
  • 3
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 4
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 5
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 6
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 10
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中