最新記事
半導体

半導体株、復活の序章か...TSMC決算に集まる熱視線

2025年1月8日(水)21時00分

TSMC決算、刺激か出尽くしか

TSMCの決算では「とりわけ注目されるのが設備投資計画」(大和の林氏)という。国内半導体関連株の主力は製造装置を手掛ける企業が中心となっており、TSMCの設備投資が強ければ、国内関連株の見直し機運が一段と高まるきっかけになり得るという。

半導体関連株は、昨年前半は相場上昇のけん引役だったが、夏場以降は失速した経緯がある。東海東京インテリジェンス・ラボの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは、半導体株に強気だった機関投資家と外国人が、円の先高観が強まる中で売りに回り、内需株にシフトしたと指摘する。それが「半年程度が経過し、次に買うものを物色する中で、半導体株に再び視線が向かってきた」という。


 

もっとも、下落基調の中で一時的に値を戻す「あや戻し」に過ぎない可能性もある。いちよしAMの秋野氏は、多くの投資家による半導体関連株のポジションは過度に軽くなっているとみており、7日の急上昇はショートカバーの側面が強いとの見方を示す。

東海東京の鈴木氏も、相対的に半導体関連株のバリュエーションは依然として高いと指摘。TSMCの決算に向けて強い地合いが継続すれば、好材料が出ても出尽くしとなり、上昇余地は限られやすいとみている。

「本当の長期の上げ相場に戻れるか、下げ過ぎの反動で終わるか、投資家は見極めようとしている」と、東海東京の鈴木氏は話している。いちよしAMの秋野氏は、市場はこれまでに相当程度のリスクを織り込んできたとし「トランプ次期米大統領が就任していったん不透明感が晴れ、(各企業の決算などを通じて)中国リスクへの警戒感が和らげば、大きな変化になる」とみている。

(平田紀之 編集:橋本浩)



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプ関税15%の衝撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 6
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 7
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 8
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中