最新記事
自動運転

ウェイモやテスラは順調なのに、GMが「自動運転タクシー」から撤退した理由

2024年12月15日(日)17時21分
GMの自動運転タクシー「ロボタクシー」

米ゼネラル・モーターズ(GM)が12月10日、自動運転タクシー「ロボタクシー」事業からの撤退を発表し、開発競争を続けている他のメーカーに厳しい現実を突き付けている。写真はGM製の、車椅子でも乗降が可能なロボタクシー。2023年9月、サンフランシスコのイベント会場で撮影(2024年 ロイター/Abhirup Roy)

米ゼネラル・モーターズ(GM)が10日、自動運転タクシー「ロボタクシー」事業からの撤退を発表し、開発競争を続けている他のメーカーに厳しい現実を突き付けている。それは、関連技術を完成させるまで長期にわたって取り組む強い意思と、膨大な資金力が必要不可欠だということだ。

自動運転技術を開発中の各企業は、トランプ次期米政権の下で規制が緩和され、実用化に向けたさまざまなハードルが排除されるのではないかと期待している。

だが今回のGMの動きからは、自動運転車市場の一部を構成するロボタクシー事業は既に幾つもの後戻りを経験し、警戒心の強いドライバーから疑いの目を持たれ、何十億ドルもの資金でも十分ではなかったことがうかがえる。

バーンスタインのアナリストチームはリポートで「GMの決定は、自動運転車の経済合理性が成り立つかどうかという興味深い問題を提起している」と指摘。「経済合理性の成立は可能だが、開発企業が以前のライドシェアのように自前の大規模なネットワークを築こうとするならば、相応の高い技術と多額の資金を投入する積極的な姿勢が求められる」との見方を示した。

GMは100億ドル近くを投資し、昨年には傘下のクルーズを通じたロボタクシーのサービスを開始。一時は業界のトップランナーとして年間500億ドルの収入を生み出す可能性があると期待されたが、依然として赤字体質を脱却できていない。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、予想

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中