最新記事
投資

お金のプロはこう考えている...「老後の備え」と新NISA、本当の「最適解」とは?

How to Prepare for Old Age

2023年11月29日(水)10時39分
藤田岳人(本誌記者)

「そうではなく『手に汗をかかない』くらい、無理のない投入金額から始めるのが大事。それで相場の上がり下がりに慣れることが必要だ」

その上で、一度に資金を全部投入するのではなく、積立投資や2回3回に分けて「ゆっくり」投資することで「時間分散」することが重要だと言う。さらには「長く」持つことを意識し、特に初心者は株を持っていることに慣れる必要がある。

「株価が上がるのは、その企業が利益を出したから。一時的には別の要因で上がり下がりすることがあっても、長く持つほどその企業の利益と株価が一致するようになる」と、藤野氏は言う。つまり一時的な値動きに慌てないこと。そのためには「最低3年は持つ」のがよいと言う。

■投資の初心者がまずやるべきことは?

では、投資をしたことがない人が、まずすべきことは何なのか。そこで重要になるのが、藤野氏が「武器を授かった」と話す新NISAの存在だ。利益が非課税となる枠が大きく拡大され、投資で資産を守る上でのハードルが下がったからだ。

藤野氏は、この制度を「政府から国民への最大のプレゼント」と表現する。「取りあえず、やるべきことはNISA口座を作ること。実際に投資をするかどうかは別としても、まずは作ることだ」

まずは「NISAに対応した口座を作る」という行動を起こしてみることが、30年間にわたる常識から脱して投資を始める第一歩となる。それに長期的な資産形成を考えれば、投資の期間は長ければ長いほど有利であり、つまり始めるのは早ければ早いほど有利になる、というのは前述したとおりだ。それでも、新NISAができたから、口座を作ったからといってすぐに投資を始めなければと焦る必要はない。

投資を始めるタイミングについて藤野氏は、こう助言する。「新NISAは今後もずっと続くものなのですぐ始める必要はなく、自分の都合でいつ始めてもいい。投資をする上で最悪なのは『せかされる』こと。有利な制度ができたことは確かなので、どれくらいの資産を目標にするのか、どれくらいの投入金額なら手に汗をかかないかを自分の心に問いかけ、落ち着いて考えればいい」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減

ビジネス

米KKRの1─3月期、20%増益 手数料収入が堅調
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中